ジウマ政権の経済政策チームが、信用格付け会社がブラジル国債の投資適格資格引き下げ回避に必死になっている。連邦政府内では格付け引き下げは必至との見方も出はじめる中、15日に3大信用格付け会社の一つであるムーディーズの調査団が来伯し、ジョアキン・レヴィ財相の補佐官、ならびにアレッシャンドレ・トンビニ中銀総裁の出迎えを受けた。
そんな心配機運の真っ最中、ジウマ政権は今年度の国民総生産(GDP)の成長見通しを前年比マイナス1・5%に下方修正したが、市場ではGDPは2%縮小との推測も出ていると16日付フォーリャ紙が報じた。
15日、連邦財務局は今年上半期の連邦政府の税収が前年比2・87%減少したと発表した。これは、不況による経済活動停滞の影響を直接受けたものと見られている。
政府の広報や経済政策担当チームによれば、景気後退は当初の予想を上回るペースで広がっている。関係者は、ラヴァ・ジャット事件の捜査が政治家にも及び始めたことに伴う議会との関係悪化などの政治的な緊張が、政府の進める経済関連政策の採決を遅らせたり、景気の先行き不透明感が企業間に拡がったりして、景気回復がさらに遅れることを恐れている。
これまで最新の政府の公式予想はマイナス1・2%のGDP成長率だったが、連邦財務局はその見方を改め、マイナス1・5%の成長との予想を明らかにした。
国税庁は、今年上半期の中央政府の税収は6070億レアルで、インフレ調整の結果、前年比マイナス2・87%となった。6月の税収は970億レアルで、前年同月比で実質2・44%のマイナスとなっている。
連邦財務局税制・関税調査センター長のクラウデミール・マラキーアス氏は「現状は指標が示しているよりずっと悪く、さらに悪化することを示す兆候が広がっている」と強調した。
税収減により、連邦政府は、新たな増収策を打ち出さない限り、GDPの1・1%、663億レアルという、今年の基礎的財政収支の黒字目標を達成できない状況におかれている。
5月までの段階で、連邦政府は年間黒字目標の12%しか達成できておらず、近日中に黒字目標額の見直しも行われる見込みだ。