日本三大太鼓の一つ「助六太鼓」家元の今泉豊さん(65、東京)=東京在住=が5日から2週間滞在し、当地の丹下セツコ太鼓道場と喜楽太鼓を指導している。丹下さんと今泉さんは16日に会見を開き、これを機に両団体は正式な会員となり、協力しながら助六太鼓の普及に努めることに決めたと発表した。
今泉さんは2カ月間の五木ひろし全国ツアーに参加してきたばかり。正月恒例の芸能人かくし芸大会の和太鼓指導に加え、村田英雄、坂本冬美、瀬川瑛子など数々の有名演歌歌手と共演してきたプロ太鼓奏者だ。
東京の盆太鼓スタイルであった斜め台による打法が特徴で、それを初めて創作和太鼓に取り入れたもの。正式な支部はニューヨーク、サンパウロ、香港、東京都杉並区、金沢など6カ所。中でも米国には助六太鼓を叩くグループが400はあるという。
今泉さんは高校1年時からプロ奏者として活動を始めた。43年前、大学時代にJETROの依頼で1カ月間、当地の見本市の日本展会場で太鼓を披露したのが初来伯だという。以来8回目。
丹下さんとは約40年前に日本のテレビ深夜番組「11PM」で一緒に出演して以来の仲。丹下さんは「私がいなくても今泉先生との関係を続けてほしいと思って、若い人に今回引き継ぎをしている」と述懐する。両団体に連日3、4時間ずつ指導する今泉さんは、「こんなに毎日指導したことない」と笑う。
丹下さんは「日本では先生が直接指導することはほとんどない。演奏はしても、指導はお弟子さんが担当している。直接に教えてもらえるなんて本当に有難いこと」と感謝した。今泉さんは当地の太鼓を「客受けするところだけでなく、まずは基本を追及してほしい。楽しくやることは大事だが、基本がガチャガチャではダメ」と釘を刺した。