ルーラ前大統領が大手建築会社オデブレヒトに国外事業に関して違法な便宜を図った疑いが持たれ、連邦検察庁が捜査に乗り出している。時を同じくして、まるでそれを裏付けるような米国の外交機密文書をウィキリークス(暴露文書のサイト)が入手していたことが判明したと、22日付エスタード紙が報じている。
米国が南米諸国においている大使館が国務省に報告している外交機密文書が、ウィキリークスによって暴露された。それには、ルーラ大統領の第2期政権中、オデブレヒト社が各国で賄賂や汚職に関係していたことをうかがわせる記述がある。
在エクアドル米国大使館は、同国のラファエル・コレア大統領が表向きには契約不履行を理由にして、ブラジル企業オデブレヒトとペトロブラスを追放すると脅しているが、その裏には賄賂の疑惑があると2008年10月21日付けの外交電信で報告している。
同国マナビ県の灌漑施設についてのオデブレヒト社が出した契約書に関し、同機密文書は「エクアドル国のアルフレッド・ヴェラ汚職撲滅大臣はこの金額に疑問を持った」と指摘し、詳細は分からないとしながらも汚職の疑いが濃厚だと指摘している。
在パナマ大使館が2009年10月5日にワシントンに送ったとされる機密文書には、リカルド・マルティネリ大統領(当時)のおかれた難しい状況に関して報告があり、外交官らと政府要人の会話の中にオデブレヒト社がらみの公共事業スキャンダルが発覚寸前だと警告する文面だった。同国で多くの公共事業を受注している同社が大統領選キャンペーンに多額の政治献金を行なっているという内容。マルティネリ氏は同社に入札なしで6千万米ドルの道路工事を任せたとある。
さらに2007年10月30日のアンゴラからの機密文書では、ルーラ大統領の関与が指摘されている。同社と共に同国をルーラ氏が訪問したことが、輸出用エタノールの生産と140メガ・ワットの電力創出が可能な発電所の建設契約を同社が結ぶ最終段階を後押ししたと分析している。
ただし、米国外交筋はルーラ氏の果たした役割を問題視している様子ではないとエスタード紙は書く。
また、在ベネズエラ大使館が2006年12月7日に送った機密文書では、ルーラ大統領が同国のチャべス大統領(当時)の選挙期間中にオリノコ川大橋の開所式に訪れ、結果的に再選支援運動をしたとし、「外交的には間違いだが〃良いビジネス〃になった」と見ている。この工事はBNDESの融資で推計120億ドル(うち40%が水増し)と同文書は推測している。
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