6月のサンパウロ市住宅の家賃平均が、10年ぶりに前年を下回った。サンパウロ州商用・住宅不動産売買・賃貸管理業者組合(Secovi)によると、6月のサンパウロ市で交わされた住宅賃貸契約の平均賃料は、インフレ調整なしで前年同月比を1%下回った。
これは05年12月に調査が開始されて以来初。総合市場物価指数(IGP―M)のインフレ率5・6%を加味すると、実質的な値下げ率は6・3%となる。
「住宅の賃料は、販売住宅の価格よりも景気の影響を早く受ける。昨年の10月より、家賃改定はIGP―Mの示すインフレ率を下回っていた」とマルク・トゥルンブル同組合賃貸部長は語る。
今年上半期にも多くの投資用住宅物件が市場に出たため、家賃収入を見込んだオーナーは期待したほどの賃料を得られていない現状にある。
「最近、賃貸者は契約の際にオーナーに対し、『更新時に賃料を上げない事』との一文を盛り込んでさえいる」とトゥルンブル氏は続け、この傾向は少なくとも年末までは続くと見ている。
この供給増の現状を受け不動産仲介業者は、オーナー達に賃料を下げて賃貸者の関心をつなぎとめる事が必要と勧めている。
レッロ不動産のイゴール・フレイリー部長も、現状を〃借り手市場〃と見ており、「借り手にとって交渉の余地が大いにある」と進言している。