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記念の銀の皿を手にする奥村氏
記念の銀の皿を手にする奥村氏

小腸移植の世界的パイオニア=奥村氏、国際シンポで受賞

 南米初、世界では4番目となる小腸移植手術を行なった消化器内科・一般外科医の奥村マサユキ氏(88、二世)が、6月に亜国ブエノス・アイレスで行なわれた「第14回国際小腸シンポジウム」で表彰された。
 小腸は複雑な免疫防御機能を持つことから強い拒絶反応が出やすく、今も移植は困難とされている。これまでの手術例は世界で約3千例、日本でも30例に満たない。同医師は臓器移植が盛んになる以前の1968年、サンパウロ市クリニカス病院において小腸移植手術を成功させた。
 患者は10日後に拒絶反応により死亡したが、この10日間という生存日数は当時の世界最長記録であった。更に、他国で行なわれた先の3例では死亡の原因は感染症とされていたが、奥村医師はそれが拒絶反応であることを初めて証明した。
 情報通信技術の発達や過去の手術例の研究等により、知られざる同医師の功績が今回、日の目を見たという。奥村氏は、「手術から47年も経ってこのような賞を頂き、大変光栄に思う」と感極まった様子で語った。
 なお、クリニカス病院は後に小腸移植センターを創設、小腸移植界における先駆的役割を担っている。
 奥村氏はサンパウロ総合大学医学部教授、クリニカス病院の副委員長などを務めていたが、1997年に退任した。