【既報関連】連邦会計検査院(TCU)は6月、連邦政府の2014年度会計に13点の粉飾疑惑を指摘し、30日間の説明猶予を与えた。22日に連邦政府は説明文書を提出したが、その翌23日、TCUのアウグスト・ナルデス報告官は上下両院議長に面会し、連邦議会で審議承認されずにある過去12年分の同会計を早急に行うよう求めた。TCUが「違法」判断をした後に生じる問題を、予め処理するように促す発言かと24日付ブラジルメディアはこの発言を大きく取り上げている。
連邦政府が恐れているのは、ナルデス報告官の動向だ。過去の同問題審議で、同報告官が強く違反を訴えていたからだ。
もしTCUが14年会計に監査報告書レベルの「違法」判断を下したら、それを根拠に議会が「法的な責任追及」を追及する可能性がある。つまり、インピーチメント(大統領罷免)に向かう筋道だ。
しかし、議会は、それ以前の過去12年分の連邦政府会計をいまだに審議承認していない。まずは山積する過去会計を処理した上で、昨年分の審議をするのが順序となる。ナルデス報告官の発言は、その流れを見越して「たまった処理をあらかじめ済ませておいて」と促す発言だと見られている。
連邦政府の説明文書を受け取ったナルデス報告官は23日、「早めに内容を検討する」と答えた。その期間は「通例なら10~15日」としたが、文書は1千頁を超える長大なものであることから明言を避けた。
また同判事は、書類に不透明な点があった場合は追加情報を求める可能性があるとし、連邦政府の代表と面会して説明を聞くことも受け入れるとした。実際、ネルソン・バルボーザ企画相は既に面会を申し出ている。
ナルデス報告官は同日のうちに、レナン・カリェイロス上院議長、エドゥアルド・クーニャ下院議長の公邸に向かい、会談を行った。その目的は、連邦政府から書類を受け取った報告と、連邦政府の過去12年分の会計審議を急ぐように要求した。
このナルデス報告官の行為に対し、ジウマ大統領の内部関係者は、「まだ書類が届けられたばかりというときに、このような行為を行なうのは不適切だ」と不満を示しているという。
一方、報告書を作った側、連邦総弁護庁(AGU)のルイス・イナーシオ・アダムス氏が23日に語った「もし過去(の会計基準)を見直すなら、全ての大統領を有罪にする必要がある。違法という選択肢はない」との見方も伯字紙各紙に掲載されている。