上がり続けるインフレ率(現在約9%)より、大統領支持率(10%)の方が低くなりそうな異例の雲行きだ。ラヴァ・ジャット作戦で次々と政財界要人が逮捕される様子を、英フィナンシャルタイムスは「終わりないホラー映画」と喩えた▼自分にも嫌疑がかかった下院議長は、連邦警察を〃野放し〃にする連邦政府が悪いと逆切れの様子。与党PMDB議員にも関わらず野党宣言をして、驚くことに、誰もそれを諌めない。むしろPTと連立解消して、以前の様にPSDBと組みなおす素振りまで▼来週再開する議会は連邦政府にとって正念場になりそうだ。特に8月16日予定の大抗議行動は、現政権への不満を訴える場として、今からネット上で盛り上がっている。前回までのデモは「政党抜き」に特徴があったが、今回からはPSDDBが軸の一つになる▼3・15デモではサンパウロ市だけで100万人、今回はそれを上回ってもおかしくない。あの時よりも政治不信が高まった。〃民主主義のお祭り騒ぎ〃に思えた3・15デモだが、あの時にはただのアイデアだったBNDES議員調査委員会は現実のものになった。さらに連邦会計検査院による粉飾会計の違法判断が下れば、それをテコに大統領罷免提案が待っている▼とはいえ、罷免されて旧弊まみれのテメル氏が大統領に昇格し、PSDBと組む方向へ行っても理想的な終着点とは言いがたい…。8・16で本当に目指すべき方向を、今こそ国民が考えるべき時だ▼でないと、この「ホラー映画」は「ふりだし」に戻るだけ。もしそうなら、この国では日常自体が「ホラー映画」か。いや、それはもうナンセンス・コメディ?! (深)