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FIFA会長選出馬に一歩前進したジーコ(Tomaz Silva/Agencia Brasil - 18/05/2015)
FIFA会長選出馬に一歩前進したジーコ(Tomaz Silva/Agencia Brasil - 18/05/2015)

ジーコFIFA会長選出馬へ=どう動く日本サッカー協会?

 「これは、日本サッカー協会(JFA)は面倒な状況になったか」――。7月30日に「ジーコの国際サッカー連盟(FIFA)会長選出馬をブラジルサッカー連盟(CBF)が支持」の一報を聞いたとき、正直いってそんな感想をもった。
 6月11日に出馬表明をした時は、こんなに大事になるとは思わなかった。会長選規約の「出馬には5協会の支持が条件」が〃足かせ〃になる事は明らかだったからだ。
 本人も「5協会からの支持を得なくてはいけない規約のせいで、支持を金で取り付けようと考える者が出ないとも限らない。大事なのは候補者がサッカーにどれだけの貢献をしてきたかじゃないか」(本紙6月12日付けサイトより)と、予防線を張ったような物言いをしていた。
 規約が変わる可能性は薄く、本人はCBFとも対立している。そもそもCBFは南米サッカー連盟(Conmebol)の利害に沿って動くから支持は無理。それが大方の見方だった。
 それがどんでん返しの「CBF、プラティニ(1日前に出馬表明、現在最も有力と見られる)推しのConmebolと袂を分ち、ジーコ推し」だ。そもそもデル・ネーロCBF会長は汚職疑惑でいつ逮捕されてもおかしくなく、身辺整理に必死で、ロシアW杯予選抽選会も欠席したような人物だけに、今回はイメージ・アップを狙っての行動か、とさえ勘繰りたくなる。
 「スイスで逮捕されたマリン前CBF会長の懐刀だったデル・ネーロ会長が、汚職に関して知らぬ存ぜぬはないだろう」と語った事もあるジーコと、デル・ネーロ会長が抱き合う写真はなかなかシュールだった。
 ではなぜ、JFAが面倒な状況になったのか。あくまで推測だが、今後ジーコが支持を要請する先の一つは、以前、代表監督まで務めた日本だろう(ブラジル現地紙もその見立て)。
 ついこの前の会長選挙では、アジアサッカー連盟(AFC)の意向に〃右へならえ〃してブラッターに投票したJFA。それが、昔の義理を重んじて、ほぼ泡沫候補といってもいいジーコを単独で推す決断を下せるだろうか。
 ジーコの頼みをむげにしてAFCの「党議拘束」(おそらくプラティニ)についていけば、ブラジル側からすれば「薄情者」のそしりは免れない。かといって、義理堅くジーコを推しても、選挙での大差負けは濃厚…。今後のAFC内での発言力低下は避けられない。
 だからデル・ネーロも「あと4協会の支持が得られれば」の条件をつけたのだ。となると日本は「心情的には推したい。ただ、あと3協会の支持が得られれば」と言うのが得策か。
 日本の次は、これまた代表監督を務めたイラクか? みんな本当は5協会の支持など集って欲しくないのに「あと2協会」、「あと1協会」となっていき、本当に5協会が集ってしまった場合が見ものだ。(規)