ブラジル海軍少将に日系人として初めて和田典明さん(55、三世)が就任したことが、7月31日付け官報で発表された。過去に海軍では、大佐に数人の日系人が昇進していたが、将官階級は初めて。鹿児島生まれの父タカシさんは元帝国海軍中尉。第二次大戦中、筑波海軍航空隊でパイロットとして活躍したという。
母スマコさんはサンパウロ州リンス生まれの二世で、その両親は福岡出身。和田少将は、4人兄弟の第二子として、奇しくも日本移民の日である1960年6月18日、サンパウロ市で生まれた。
リオの海軍士官学校を卒業後、85年12月13日に入隊。帆船シスネ・ブランコでの訓練航海を経て、翌年12月1日に少尉として駆逐艦マット・グロッソに配属された。
88年12月中尉に、91年12月大尉に昇進。米国に赴任し指導員などを務めると、その後97年には少佐に、02年には中佐として、ペルナンブッコ州オリンダの士官学校で後進育成に従事した。
08年8月には大佐となる。10年には参謀長に任命され、12年から2年間は再び米国に赴き、ワシントンの駐米ブラジル軍部機関で役員も務めた。そうした実績を評価され、このたび少将に昇進。同氏はこれまで、第4等メリト・マリニェイロなど4つの名誉勲章を受け取っている。
和田少将は知人を通じて、「ブラジルという遠い国に移住した日本人は、子弟へ可能性を信じ教育や人格形成に尽力した。私の功績は小さなものに過ぎない。ただ軍人だった父の背中を見て育った私にとって、少将昇進はこの上ない喜びだ」とコメントしている。
同月30日には就任を祝い梅田邦夫大使や、日本海自の練習艦隊で寄航中だった中畑康樹司令官と昼食を共にした。和田少将は8月4日にブラジリアで祝賀会を、7日にプラナウト宮(大統領府)での就任式を控える。