宗教行事というと辛気臭く、若者もあまり寄り付かないイメージがある。ブラジルでは既存仏教はそのイメージのまま、新興(?)宗教は違った取り組みをしているように見える。そのせいもあり、布教の広がりは後者が数段上回る▼このたび、サンパウロ州タピライ市で(先月30日付け本紙で詳報)、佛立聖地の宝塔落慶式があった。暑いなか、本門佛立宗の信者約1500人が集った。なかなか趣が違って感慨深かった。楽しませてもらったといえば失礼かも知れないが▼日本でいう「ゆるキャラ」がいたのも楽しかった。会場をお坊さん姿の着ぐるみが行ったり来たり。子供たちにも人気だった。名前を聞くのを忘れたのが悔やまれる。途中若者による典型的なサンバの演奏もあった。そういえば、リベルダーデを「坊主バンド」で練り歩いたことも思い出した。音楽活動を橋渡しと捉えているのだろう▼宝塔も日本でいえば、五重塔だったりするようだが、鉄筋で伊達正宗の兜のような半月がついている、斬新なデザインだ。山内日開上人がヘリコプターに乗り込み、この塔に向かって開眼法要。湖の水面がさざめき、轟音のなか、読経が響き渡るインパクトはすごかった▼今後さまざまな福祉施設を建設していくという佛立聖地構想。コロニアでは聞かないスケールの大きな話だ。事業をけん引するコレイア教伯教区長によれば、全州に拠点を築くのも目標の一つだという。気づいたことは、坊主頭の非日系人は似ているということだ。色んなところにコレイアさんがいるように見え、不思議な感じがあった。このパワーはブラジルの仏教地図を塗り替えそうだ。(剛)