連邦議会が休みから明けたのを受け、エドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)は、先頃宣言した「連邦政府との絶縁」をさっそく実行に移すべく、近日中に設置される4つの議会調査委員会(CPI)の要職から労働者党(PT)を外し、逆に民主社会党(PSDB)との接近を画策していると5日付けエスタード紙(E紙)などが報じている。これは、ジウマ大統領罷免法案の通過に向けた段取りの一つか―との不穏な推測も流れはじめている。
クーニャ議長は3日夜から与野党の主な代表を集めて、①「社会経済開発銀行(BNDES)の不正貸付疑惑」②「国営公社の年金基金の運用損失疑惑」③「サイバー・テロ」④「動物虐待問題」に関してのCPI設立の話し合いを行なった。そこに「PT議員は誰も呼ばれなかった」とE紙は報じた。
①と②が特に注目されている。①は不正な巨額融資を政治家が関係する特定の企業に行った疑惑に関するもの、②はペトロブラス、郵便公社、ブラジル銀行、連邦貯蓄銀行など公社系の年金基金の運用に大損失があるとの疑惑を調査するものだ。共に巨額な公的資金が関係するだけに調査の進展次第では大スキャンダルにつながる可能性が噂されている。
E紙によればBNDESのCPIは委員長がPMDB、報告官が与党の共和党(PR)。年金基金では委員長が野党・民主党(DEM)、PMDBが報告官。サイバー・テロの委員長は野党最大党のPSDB、動物虐待は社会民主党(PSD)に内定している。
PTは下院の議員数では1位の党だが、重要CPIの要職に選ばれない異例の事態となった。このクーニャ議長の判断にPTは大反発するが、同議長は「(ラヴァ・ジャット作戦に直結する)ペトロブラスCPIのメンバーにはいるではないか」と反論した。
クーニャ議長はこの会合で大統領罷免法案について話し合ったことを強く否定している。だが、E紙はおよびフォーリャ紙(F紙)はこの会議に参加した2人に取材し、同議長は罷免法案をいったん議長権限で拒否するが、野党議員(F紙は与党)から再提案させる。その時は全下議の多数決で議決する方向で根回ししたと報じた。
E紙によれば、議会は今週、まず1992年、2002年、06年、08年の会計承認を急ぎ、昨年度の審議がすぐに始められるよう急いでいる。「2回でなく、1回の審議で終わらせ、今週末までに片をつける」とある。連邦会計検査院(TCU)が昨年度の粉飾会計問題の違法性を指摘する報告を出したら、それを根拠として罷免法案に発展させる準備をしていると報じた。
もし粉飾会計問題で罷免されなくても、今回仕掛けられつつあるCPIがジウマ政権を次々に襲うことになりそうだ。
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