【既報関連】サントス港に停泊中の海上自衛隊練習艦「しまゆき」(小圷聖一艦長)と護衛艦「やまぎり」(橋本聖一艦長)に乗船する約300人の隊員が文協での歓迎式典(6日付け本面掲載)後、出身地ごとに県人会から歓迎を受けた。郷里の話題や移住当時の体験談を通し、親交を深めた。また両艦長は文協移民史料館も訪れ、移住の歴史に耳を傾けた。
福岡県出身の6人の隊員は、福岡県人会(南アゴスチーニョ俊男会長)の20人と共に、陸軍少将・池田リュウゾウ氏(54、二世)の招待で、南東伯軍総合司令部講堂で歓迎昼食会に参加した。
県人同士で会話を楽しみながら、フェジョアーダなどブラジル料理に舌鼓を打った。
昼食後、ビデオを使った当地の陸軍組織の概要説明が池田氏から行なわれ、橋本艦長から「ブラジルと国境が接している周辺国との関係は良好と聞いているが、実際はどうか」と質問が出るなど、真剣に聞きいっていた。
本紙の取材に対し、橋本艦長は「日系人の方がブラジル軍の主要なポストに就いて活躍されていることを、とても誇りに思う」と感想を語った。
南会長は、「元々、池田さんを歓迎会に呼ぼうとしていたところ、逆に招待された。熱心に皆さんを歓迎してくれ、県人会としても貴重な機会を持てて嬉しかった」と、予期せぬ出来事を楽しそうに語った。
愛知県出身の14人の隊員は愛知県人会(沢田功会長)の30人からシュラスコなど手作り料理で歓迎を受けた。
沢田会長は「多くの方々が参加してくれて嬉しい。会員は二世が多く、懐かしい故郷の話をする、というわけにはいかないが、今日の楽しい思い出を日本に持って帰り、家族や友人に伝えてもらえれば」と話した。
小圷艦長は「暖かく歓迎してくださり感激。日本人として日本語が大切にされているということを嬉しく思う。これまでの寄港地で他国日系人との交流もあったが、ブラジルの日系社会の大きさには驚いた」と語った。
県人の話を熱心に聞いていた隊員の水谷康宏さん(24、愛知)は、「日本語を聞くとやはり安心する。県人会の存在は艦内でも話題なっていた」と話した。江口重雄さん(77、愛知)は「スポーツの話をした。皆さん体格が良くて頼もしい」と意見交換を楽しんでいる様子だった。
隊員たちは昼食で親交を深めた後、会員の案内でリベルダーデやセー広場を観光して歩き、当地の光景に興味津々の様子だった。
また橋本、小圷両艦長は、文協移民史料館を見学。笠戸丸をはじめ、ブラジル移民の歴史に一つひとつ頷いていた。
□関連コラム「大耳小耳」□
練習艦隊の歓迎会は、サンパウロ市内各地で行なわれた。広島県人会は、24人を迎えながらシュラスカリアへ。「方言で会話して故郷を語る良い機会になった。自衛隊の青年らもたくましくて」と喜ぶ関係者。鹿児島は7人の乗員に対し、約30人の関係者が熱く歓迎したという。また一方では、4県人会が偶然同じ飲食店に居合わせるなど、各会賑やかな様子だった。