ジウマ大統領(労働者党・PT)への不支持率の高まりなどを受け、副大統領のミシェル・テメル氏を政界のリーダーにしようと、同氏が所属する民主運動党(PMDB)の主要人物たちが働きかけていると、9日付伯字紙が報じている。
現在、ジウマ大統領の罷免を求める動きが民主社会党(PSDB)をはじめとした野党側から目立ちはじめているが、万一罷免ということになった場合、憲法の手順に従えば、テメル副大統領が自動的に昇格ということになる。
それを見越してか、ここ数日、テメル副大統領をめぐる動きがあわただしくなってきている。
その最初の象徴的なものは、5日にサンパウロ州とリオの工業連盟が、テメル氏への支持を公式に発表したことだ。同氏はその前日の4日に「今、ブラジルには、改めて国をまとめあげる存在が必要だ」と語ったばかりだ。
この背景には、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)の会長のパウロ・スカッフィ氏がPMDBの党員であることもある。
また、テメル氏の側近でウリセス・ギマリャンエス財団の会長、大統領府航空庁長官だったモレイラ・フランコ氏も、民主社会党(PSDB)党首、アエシオ・ネーヴェス氏の側近のマルクス・ペスターナ下議と3日に会食を行っている。
さらに同党上院リーダーのロメロ・ジュカー氏も、4日に野党第一党のPSDBとの両党リーダー会議に参加し、「ジウマ政権では政治危機から脱することはできないだろう」などと話していたという。
また、元国家統合相でテメル氏の友人でもあるゲッデル・ヴィエイラ・リマ氏に至ってはネット上で「ジウマ大統領の罷免はPMDBにかかっている」なる動画を作成し、そこでは出演者が「PTはブラジルを壊した。PMDBこそが唯一の選択肢。今こそ罷免を」とまで語っている。
連邦政府内でジウマ大統領に近い大臣たちは、このところ急速に強まってきたテメル氏を持ち上げようとする動きにレナン上院議長が同調することを恐れている。ジウマ大統領はレナン氏に、エドゥアルド・クーニャ下院議長が押し進める連邦政府の財政を締め付ける「爆弾法案」の防波堤役をはたすことを期待している。
ただ、こうした「テメル支持」の裏で気になるのは、PMDB党員に対するラヴァ・ジャット作戦の捜査だ。同作戦で逮捕された同党のロビイスト、フェルナンド・バイアーノ被告は報奨付の供述を始めており、汚職に関与した疑惑者リストに挙げられている両院議長やジュカー氏らにも捜査が及べば、テメル氏支持の動きも勢いをそがれる危険性がある。
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