【北米報知7月30日】米国ワシントン州シアトル市内トリニティー・エピスコパル教会が150周年を迎え記念行事を予定。8月12日には、20世紀初頭の日本人移民と米国市民の結婚にまつわる騒動や家族のつながりを描いた演劇『グンジロウ叔父さんの恋人(Uncle Gunjiro’s Girlfriend)』が上演される。
同劇は1998年にサンフランシスコで初めて演じられ、シアトルでは今回が初となる。
演劇作家のブレンダ・ウォン・アオキさんが、大叔父にあたる日本人移民の青木軍次郎と、米国市民の白人で教会牧師の娘だったヘレン・グレディス・エメリーにまつわる実話を描いた。
ステージでは夫でジャズ音楽家のマーク・イズさんの音楽に合わせ、アオキさんが語り手として一族のストーリーを写真とともに紹介する。
当時、米国各地で禁じられてきた異人種間結婚を破る形での婚約は、家族ともども一般社会やメディアから大きな批判を受け論議を巻き起こす。
カリフォルニア州を離れ、ワシントン州まで北上した軍次郎、ヘレンの2人は、1909年3月27日にトリニティー・エピスコパル教会で結婚。
一方でヘレンの米国籍喪失、軍次郎の兄だったアオキさんの祖父は、サンフランシスコの日本人聖公会の牧師職を失いユタ州に追放されるなど、語られることのない一族の「汚点」とされてきた。
アオキさんは家族のルーツを調べる中で、世間に背を向けても支援を続けた家族の姿や隠された信念を知った。
シルクロード時代からつながる一族のキリスト教との関係にたどりつく中、誇るべき一族のストーリーとして伝え続けている。
トリニティー教会のポリー・シガキ執事は、演劇に伝わるストーリーが「シアトル、米西海岸、米国のコミュニティーの歴史において重要な一部」と語り、当時の人種偏見や今日の多様な文化背景の理解につながるよう願っている。