スマートフォンで配車できる無認可タクシーUberの運転手(22)が8日深夜、サンパウロ市西部のイタイン・ビビで通常営業のタクシー運転手に誘拐され、暴行される事件が起きたと11日付伯字各紙が報じた。
被害者は20人のタクシー運転手に暴行されて逃げようとしたが、4人(内1人は武器を所持)に捕まり、強制的にタクシーに乗せられた上、30分間、軟禁状態に置かれ、顔も殴られた。被害者の車はその後、完全に破壊された状態で見つかった。
この事件は、タクシー業界の代表者が、下院公聴会で「運転手達はUberに対し激しく怒っており、このままでは死人も出かねない」と発言してから2カ月もしないうちに発生した。
インターネットで利用者と無認可タクシーを簡単に結びつけるサービスUberは、ブラジルだけでなく、世界中で従来のタクシー業者や運転手の反感を買っており、サンパウロ市も正規の届出もなく税金も納めないUberを非合法営業とみなしている。
タクシー運転手と同業界労働者の労組会長のアントニオ・ライムンド・マティアス・ドス・サントス氏は取材に対し、少なくとも1人の犯人を突き止めたことを明らかにし、「彼を業界から追放するようサンパウロ市公共輸送局に訴える」と語った。
Uber側も文書で、事件を「野蛮な行為」と呼び、被害に遭ったドライバーへの見舞いと、捜査当局と共同で犯人を探す意向を表明した。
10日夜、サンパウロ市議会ではタクシー業者とUber代表者間で白熱の論戦が行われた。タクシー業者はライセンス無しの営業は違法と唱え、Uber側は新しい技術が需要と供給をマッチングさせているだけと反論した。
議会を傍聴していた17歳の学生は、「Uber規制に賛成した議員はタクシー業者に買収されている」と叫んだため、議場を出る時は警備員の保護が必要だった。