ブラジル南東部と南部に工場を持つ製パンメーカー、ヴィックボウド(以下、WB)が10日、同2地域に工場を持つセブン・ボーイズを100%買い取る事で合意した。
買収額は11日に開かれたWB側の記者会見でも明らかにされていないが、WBは「この買収により、WBのシェアは国内2位の20%となる」と発表したという。
現在の同社のシェアは国内3位で、年間の売上額は6億5千万レアルに上る。工場は、サンパウロ州に三つ、リオデジャネイロ州に一つ、サンタカタリーナ州に一つの計五つで、最近は1位のBimboと2位のPancoをしのぐための方策を模索していた。
セブン・ボーイズは日本人移民の与那嶺一家が1954年にサンパウロ州サントス市で創業したパンやケーキのメーカーで、1954年にセブン・ボーイズという名前となった。
代表的な商品はビスナギーニャで、1960年代には、リオ市、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市、リオ・グランデ・ド・スル州ポルトアレグレ市といった大都市にも店や工場を構えるに至った。同社の製品はハンバーガーやホットドッグ用のパンなど、種類が多い事でも知られている。
同社創業者の与那嶺一家は1985年、事業を分割する事を決め、ジンコ氏がセブン・ボーイズの名前を継ぎ、キヨテロ氏が引き継いだ地域ではPANCOという社名を使う事になった。二人は一方の会社のある地域の事業に他方の会社は介入しないとの紳士協定を結び、サンパウロとリオの両州ではPANCO、ミナス州と南部ではセブン・ボーイズが事業を展開する事とした。
この協定は2002年に与那嶺イザ氏が事業を継いだ時点で破棄され、セブン・ボーイズの商品はサンパウロ州内でも売られるようになった。
セブン・ボーイズの現在の年商は2億レアルとされ、ベロ・オリゾンテとポルト・アレグレの工場で生産した製品は、九つの配送会社により、中西部のゴイアス州や連邦直轄区の小売店にも届けられている。
ただ、近年のセブン・ボーイズは経営面で行き詰っており、販売網や売上げを伸ばしたいと考えていたWBとの買収交渉は9カ月前から始まっていたとされる。
買収後は国内シェアで2位となるWBだが、プルマンやヌトレラ、アナ・マリア、プルス・ヴィタなどの商標で幅広く製品を扱っているメキシコのメーカー、Bimboを追い抜く事は至難の業と見られている。
ブラジルの製パン業界では、経済危機で消費が伸びる傾向があり、昨年の年商は前年比26%増の26億レアル、生産量も12%増の27万6千トンだった。(11日付エスタード紙、11日付G1サイトなどより)