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フード・トラックで郷土食を

リベルダーデ広場のフード・トラック

リベルダーデ広場のフード・トラック

 5年前、道端の古びたフード・トラックでパステルとさとうきびジュースを買い、2回も腹を下した。フード・トラックとは後部座席を台所に作り変え、道端で食事を販売する移動型屋台のことだ。後からブラジル人の友人に「不衛生だから自分は買わない」と注意され、確かに日本育ちの繊細な胃袋じゃね…と反省したものだ▼ところが最近、サンパウロでこれが大流行している。しかも当時のイメージとは打って変わり、外観もカラフルで凝ったお洒落な屋台ばかり。フード・トラック専用広場を設ける地域も現れるなど、世界的にも新たな形態の飲食店として急速に広がっている▼この移動型屋台は2008年ごろ、金融危機で景気が低迷する米国で、店側にとっては初期投資や人件費が少なく、消費者にとっては安価で便利な点が魅力となってブームに火がついた。最近はオーガニック食材や地産地消にこだわる店、世界各国の食事を提供する店など多様化も進み、市場は10億ドルの規模に上るとか▼サンパウロ市では14年に法的整備が済んだことで、すでに市内だけで300台も営業している(南米飲食店協会=AREGALA発表)。最近はリベルダーデ広場にも何台か常駐し広場を賑わせているが、定番寿司にお好み焼き、たこ焼きなどB級日本食まである。利用者の多くは若者なので、好奇心をくすぐるものを出せば飛びつくのでは▼設備投資は9~30万レ、上手くすれば収益は平均1万5千~5万レにも上るというから、競合他店に勝てるのなら美味しいビジネスだ。県人会の郷土食普及の新たな拠点として、フード・トラックに挑戦してみるのはいかが? (阿)