日本食を筆頭とするアジア料理市場の急成長を背景に今月3日~5日、サンパウロ市エキスポ・センター・ノルテにおいて、アジア料理に特化した初の見本市「ジャパン&アジアンフードショー」(Japan & Asian Food Show)が開催された。3日間で国内24州とカナダ、チリ、ウルグアイ、韓国、日本など世界各地から業界関係者約3200人が来場し、それぞれ情報収集や知識交換、技術向上に励んだ。フランカル・フェイラス(アブダラ・ジャミウ・アブダラ代表)主催。
とどまる所を知らない日本食ブームを受け、業界関係者のビジネス創出、情報収集や技術向上の場として、東京や米ニューヨークで開かれる日本食イベントをモデルに企画された。
初回とあって規模は控えめだったが、企業約50社が出展し、食材や料理器具、寿司マシーン等の紹介を行なったほか、小池信、マウリシオ・サンチ氏ら有名シェフによる各種セミナーや料理講座が終日無料で開かれた。来場者全員が潜在的顧客という状況はビジネス交渉にも好都合で、イベント終了後、来年のブース予約が殺到したという。
AREGALA(南米飲食店協会)の調べによると、国内のアジア系レストランの推定数は3500軒で、内3千軒は日本食店だ。そして、今も全伯でその数を伸ばしている。
最終日に講演を行なったエニオ・ミランダ氏(AREGALA広報担当)は、アジア料理店増加の背景には「在伯アジア人(日中韓)の人口増加」「消費者の趣向の移り変わり」があると分析。在伯アジア人人口は直近10年間で173%も増加しており、彼らの郷土食への需要が市場拡大に繋がっていると見る。また多様性や利便性、味、健康的な食事を求める消費者の動きもそれに拍車をかけている。日本食では寿司・刺身という定番からお好み焼きや抹茶など、新たな食の体験や食材を求める傾向が強まっており、韓国料理ブームの兆しも見られるという。
中でもアジア料理の需要が高いのは聖、リオ、ミナス、ブラジリア、バイーア州で、これらの州では食の広場やフード・トラック、シュラスカリア、宅配、テマケリア、居酒屋など店の形態も多様化するなど、裾野の広がりが加速化しているようだ。
マナウス市からはるばる訪れた日本食店経営者は、「寿司職人用の衛生管理セミナーはすごく役に立った」と振り返った。白米ブランド「ヒバリ」のブースで商品を宣伝していたレオナルドさんは、「市場参入して50年以上になるが、今回は市外からの客が多い印象だ。顧客を見ても、内陸部で日本食店が急増しているのが分かる」と市場拡大を実感しているようだった。
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AREGALA(南米飲食店協会)の調べによると、全伯のアジア料理店数は3500軒。ところがアジア料理見本市を主催したフランカル社はサンパウロ市129の地区で行なった実施調査を基に、サンパウロ市だけで3千軒、全伯で1万軒あると推定している。3千と1万では大違いだが、どちらが実態に沿った数字なのかという説明はない。この手の推定値は一旦発表されると一人歩きしやすいが、あまり鵜呑みにしない方がよさそう。