下院本会議が19日、殺人、傷害致死、強姦致死・致傷、誘拐、強盗などの重犯罪に限り、刑法適用年齢を18歳から16歳に引き下げる憲法改正案(PEC)の2度目の承認をしたと20日付伯字各紙が報じた。
これにより、同法案の審議は上院に移るが、労働者党(PT)は再度、連邦最高裁に審議の差し止めを訴える意向だ。
PEC承認には上下両院で各2回、6割以上の賛成が必要だ。7月2日未明の承認を受けて行われた今回の採決は、賛成320、反対152、棄権1の結果が出た。
同PECは7月1日に1度否決されたが、エドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)は、同じ法案をわずかに変更して24時間後に提出するよう指示した上で、2日未明に可決させた。この手法は余りにも強引で、憲法の規定に反するとして、PT議員が審議差し止めを求めて最高裁に訴えた。
セルソ・デ・メロ判事は、PECの審議はまだ1回目でもあり、差し止めるだけの法的根拠は認められないとしたが、将来における訴えの可能性を否定するものではないともした。PTのアレサンドロ・モロン下議は改めて、最高裁にPECの審議差し止めを求めると明言した。
採決前に行われた賛成派、反対派の最終弁論は正面から食い違った。
PMDBを始めとする賛成派からは、「国民の声を聴いて刑法適用年齢を引き下げるべきだ。いわれなき暴力で我が子を失うような事があってはならない」(クリスチアネ・ブラジル下議、ブラジル労働党・PTB)といった意見が出された。
これに対し、PTを中心とする反対側からは、「治安に脅威を与えているのは成人であって、少年ではない。少年は更生させるべき」(党の方針に造反して賛成に回ったダルシシオ・ペロンジ下議、PMDB)のような反論がなされた。
カルドーゾ法相(PT)は採決に先立ち、PEC反対の立場を明らかにすると共に、「このPECが承認されれば、暴力は収まるどころか深刻化し、刑務所の収容人員オーバーも問題になる。治安を悪化させるような法案に賛成する事はできない」と文書で述べた。
同PECは今後、上院で審議され、2度の承認が必要だ。条文に変更が加えられた場合は、下院に差し戻され、再審議となる。