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杜撰な自転車道が招いた事故=サンパウロ市長の目玉政策に疑問符

 17日午後、サンパウロ市中央部のコスタ・エ・シウバ高架橋(ミニョコン)下のオリンピオ・ダ・シルヴェイラ大通りで、道路を横断中だったフロリスヴァウド・カルヴァーリョ・ダ・ロッシャさん(78)が通勤途中のジルマール・ライムンド・アレンカール氏(45)の自転車に撥ねられて死亡した事件は、ハダジサンパウロ市長(労働者党・PT)が推進している自転車専用レーン設置計画に影を落とす可能性があると20日付伯字紙が報じた。
 ハダジサンパウロ市政は、今回の事故を受けて、ミニョコン高架下の自転車レーンの見直しを行う可能性を示唆した。来年のサンパウロ市長選挙で再選を目指す同市長にとって、目玉政策の自転車レーンでの失敗は再選を危うくする。
 ロッシャさんの息子のエドゥアルドさんは葬儀の席で、1週間前に父親の誕生日を祝った事に触れた後、「でも今はこうして、やるせない理由で亡くなった父を見送っている」と語り、「市は住民や利用者に安全な利用法を周知する事にも気を配るべきだ。今やっている事は『作って終わり、後は知らない』と言っているも同然」と続けた。
 現場近くの教会で働き、事故後のロッシャさん救助を手伝ったルシアナ・マリーニョさん(28)も、「一体、誰が、大通りの中央分離帯にペンキだけ塗って、歩行者と自転車が交錯するような、いい加減な自転車道を作ったのかしら」と嘆いた。
 事故について問われたジルマール・タットサンパウロ市交通局長は、「事の顛末を確認する事が第一だ。同地の自転車レーンの見直しが必要ならば、歩行者、自転車利用者双方に対する標識の設置などを行う」と言った。同局長は今回の事故を〃(予期せぬ)惨事〃と評した。