ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)の定例昼食会が8日、サンパウロ市のチボリホテルで行われ、南大河州のジョゼ・イヴォ・サルトリ知事が「投資先としての州の可能性」をテーマに講演を行った。会員ら約140人が参加した。
同州の人口はギリシャとほぼ同じ1100万人で、州都ポルト・アレグレには140万人が住む。日本移民は35年以上前から居住する。
サルトリ知事は「他州と比較して、総GDPも1人当たりのGDPも高い」と述べ、経済的豊かさをもたらしている州の強みを列挙した。
同州はメルスコール(南米南部共同市場)の中心という地理的に優位な場所に位置し、国際空港があり、水上輸送のための運河開発も行っている。自動車や食品など製造業の工業地帯も多く、太陽光や風力発電にも力を入れている。金融システムも発達していることから「日本の商業銀行との提携も考えている」と明かした。また「州内には20以上の大学がある」と人材の豊富さも強調した。
現在、国外からの投資を積極的に受け入れており、自動車関連メーカーなどが多数進出している。日系企業も20社以上が拠点を置く。
サルトリ知事は「我が州には財政赤字があるが、それをオープンにしているおかげで、短期間で巨額の投資を集めることに成功した」と財政の透明性について胸を張り、コスト削減策については「役に立たない独立行政法人は無くしていく」と語った。
最後に日系企業に投資を呼びかけ、「今後も国際競争力を高めていく。わが州にも課題は多いが、支援を受け入れ、一緒に仕事をしていく用意がある」と結んだ。
講演後、村田会頭からサルトリ知事へ記念プレートの贈呈が行われた。
なお講演前の3分間スピーチでは、サンパウロ市文協が4月から進めている「文化空間プロジェクト」の改修工事継続にあたり、森口イグナシオ移民史料館運営委員長がさらなる資金援助を呼びかけた。
参加者の槙尾エドゥアルドさん(47、三世)は「現在日系は四、五世の時代に進みつつある。日本語を話せず日本文化にも馴染みが薄い彼らに、どう文化を引き継ぐか。その世代の意見も聞いてから計画を進めてはどうか」と感想を述べた。