リオグランデ・ド・スール州ポルト・アレグレ市の軍警学校で『第4日本祭り』(日野原ペドロ実行委員長)が15、16の両日に開催された。イタリア、ドイツ系が多い同市では、日本文化を愛する非日系の活躍も目立った。同時開催のアニメフェスタ『ANIME・BUZZ』の人気も加わり、毎年来場者数を更新中。今年も過去最高の7万人が参集し、日本文化を堪能した。
会場中央の特設ステージで祭りの始まりを告げたのは、サンパウロ州タウバテから駆けつけた海藤三味太鼓の演奏。非日系が大半を占める会場は、太鼓と笛、三味線の音色で日本のような風情が漂った。
日系青年会「新星」も、海藤三味太鼓の演奏をバックに宮城県伝統の「すずめ踊り」で会場を巻き込み元気に踊った。
また、サンパウロ市から訪れた「レキオス芸能同好会」の6人も舞台に上がり、沖縄の伝統芸能エイサーを披露。巨大な龍も登場し、大歓声が上がった。
ステージを囲むように設置された文化スペースでは、着付け体験や書道や墨絵のワークショップなどが行われた。折り紙コーナー担当のサイモン・ブルームさん(29)は、「折り紙との出会いはインターネット。ブラジルにはない繊細な感じに心が惹かれた」とコメント。盆栽展や剣道、合気道のデモンストレーションも、全て非日系人によるものだ。
日本語を勉強中というレオナルド・フォンテスさん(27)は、「アニメのイベントはあっても日本文化を体験できる場所は少ない。こういう場所で同じ興味を持つ人と知り合えるのも嬉しい」と笑顔。二日間とも来場し、貴重な機会を存分に利用した。
同祭は運営会社を通さず、援協、文協、青年会、婦人会のボランティアの実行委員20人を中心にしている。入場料も一キロの保存食のみ。前持って予算は組まず、かかる費用は全て後払い形式をとっている。祭りの規模には見合わない手作りの日本祭りだ。
それでも地域からの温かい反応が手助けになっている。地元新聞は事前に1ページに渡る特集記事を掲載し、15日にはテレビ局が生中継で祭りの盛況ぶりを伝えた。
文協の谷口浩会長(63、広島)は、「手探りで始めた日本祭りも4回目ということで、我々も少しずつ馴れてきた」と汗をぬぐい、「来年は南伯移住60周年を兼ねて、もっと盛大に開催したい」と、早くも忙しそうな様子を見せていた。
■ひとマチ点描■「金沢友の会」会長 ジルベルト・サントスさん(49)
日本祭りの「金沢コーナー」で、熱心に市の魅力を伝えていたのは非日系のサントスさんだ。金沢市の協力で漆器等伝統工芸品や観光パンフレットを用意し、来場者にPR。
リオグランデ・ド・スール州連邦大学で日本文学を修め、01年から2年間、JETプログラム(外国語青年招致事業)で金沢市役所の国際交流員として勤務した経験を持つ。日本人さながらの日本語を話す上、読み書きもお手のもの。現在はポルト・アレグレで裁判所書記官として働く。
67年から同市と姉妹都提携を結ぶ金沢の交流活発化を目指し、今年の3月19日に「金沢友の会」を結成。自身が開講する同市カトリック大学日本語講座の生徒等を中心に20人で活動する。
常設の事務所も構え、インターネットサイトの設営や新たに友好の印として提供された兼六園のシンボル「徽軫灯籠」の設置準備を行っている。
「自分は少しお手伝いをしているだけ」と控え目に話すサントスさんだが、金沢との連絡はほぼ一人で行ってきた。形骸化する姉妹都市関係も多い中、日伯のかけ橋として実に頼もしい存在だ。(桃)
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「ポルト・アレグレ日本祭り」には日本から歌手のゲストが2人駆けつけた。一人はご存知、中平マリコさん。もう一人が小川善久さん(50、和歌山)だ。実はこの方、駐在員向けのポ語教室等を運営するスポンサー企業『漢和塾BrAsia』の社長。実行委員の一人とたまたま縁があったことから、去年に引き続き2回目の公演になった。学生時代にフォーク歌手としてレコードデビューした経験も持ち、今回は計1時間のショーを披露。それも全編ポ語の作詞作曲を全て自身で行ったというから凄まじい情熱だ。