とある土曜日、知人がふと「日本食レストランへ行った時はブラジル人の方が多く、シュラスカリアへ行った時は日系人の方が多かった」と言った。娘に話したところ、「日系人は普段から日本食を食べる機会が多いから、何かあったら肉を食べに行くが、ブラジル人は普段は肉を食べているから、たまに食べに行く時は日本食レストランへ行くのでは」との言葉が返ってきて、さもありなんと思った▼だが、実はもう少し違う理由もあるのでは考えている。というのは、末の息子はブラジル人の友人と同じ行動をとろうとする傾向があるからだ。小さい頃転校してからは日本語を話そうとしなくなったのも然り。弁当を持たせれば、「友人が覗いてみたがるから、ああいうのは止めろ」とか「卵料理ならこのやり方で」と言う様子に、周りと同じでいる事で安心感を得ようとしているのを感じる▼無論、個人差も大きいが、かつて、日本人移民が土地を手に入れた途端に周りの移民仲間から妬まれるようになったと聞き、「出る杭は打たれる」という諺を思い出した事もある。同じステータスにいて周りと同じ事をやっていると不安やストレスは少ない▼その一方、他の人と違う事を見せたくて仕方ない人や、違う事を誇りとする人もおり、中傷ややっかみさえエネルギーに出来る強靭さを持つ人をうらやましく思う時もある。バイエルが弾ける程度で「ピアノが弾ける」という心臓を持てない日本人には、他人と違う事をアピールポイントにするのは難しいかも知れない▼日本人や日本食が好きなブラジル人も多いから、想像を逞しくしすぎたのかも知れないが、国民性の違いが気になる一言だった。(み)