27日より、「今年最高のブラジル映画」との呼び声の高い「ケ・オーラス・エラ・ヴォウタ?(彼女は何時に戻る)」が公開されるが、主演のレジーナ・カゼ(61)に注目が集まっている。
レジーナ・カゼと言えば、ブラジル映画でもこの30~40年ほど、主に喜劇系でおなじみの女優だが、現在はグローボ局の日曜昼のバラエティ「エスケンタ!」の司会としても知られている。
そんなレジーナは現在、「ケ・オーラ~」の評判に彼女自身が驚いている。きっかけは今年2月にアメリカのインディペンデント系映画の祭典「サンダンス映画祭」に出展したところ、レジーナと彼女の娘役を演じたカミーラ・マルジラが最優秀演技賞を受賞したことだった。
さらには3月のベルリン国際映画祭でも一般客が選出した特別賞を受賞し、先行公開されたフランスやイタリアでも既にヒット中だ。こうした動きの中、レジーナに対しては早くも、フェルナンダ・モンテネグロが1999年に「セントラル・ステーション」の演技で果たして以来となる「ブラジル人役者史上2人目のオスカー・ノミネートもあるのでは」という声も出はじめている。
レジーナはそういう評判に対し、「皆さんがこの映画やブラジル映画を応援してくれるなら、あるかもよ」とまんざらでもなさそうに答えている。
この映画は、レジーナ扮する北東部ペルナンブッコ州の貧しい家庭出身のヴァルが、幼い娘を祖父に預け、サンパウロ市の高級住宅街に乳母の仕事を得たところからはじまる。ヴァルが世話をしていた少年は13年後に大学受験を迎えるが、ヴァルの娘のジェッシカも同じテストを受けることになり、ヴァルの勤める家で共同生活をはじめたところ、そこで数多くの問題が発生する、というストーリーだ。
この映画はブラジルにおける、家庭内労働者と雇う側の雇用関係という、ブラジル社会に根付く社会の一面を描いている。レジーナはこれに関し、「家庭内労働者は私たちの生活にとって重要な存在だと思うの。彼女たちはとても多くのことを学んでいて、私も演じてみるまでは知らなかったようなことまでやっているのよ。でも、彼女たちに関する調査みたいなことはしなかった。やったのは心を開くことよ」と語っている。
レジーナの代表作には今回のヴァルをはじめ庶民的な役柄が目立つが、彼女はそれを誇りに感じている。「私自身が北東部の出身だもの。血は争えない。私の代表作となった女性像は強くて戦う人たちなの。そういう人たちが好きなのよ。私自身がそういうタイプだからね」と彼女は語る。
一方、そのレジーナも「大のお気に入り」と語る本作の監督アナ・ムイラエルトは、今回の映画に関し「家庭内の雇用関係を描いた映画は最近になって出てきている。だけど、これまでのはいわば〃居間〃からの視点。私のは〃台所〃からの視点よ」と語っている。
また、同監督は出演する役者に関して「自分の言葉でしゃべれる人でなければ使わない。今回の作品はレジーナはじめ、多くの素晴らしい役者たちが貢献してくれた」と語っている。(23日付エスタード紙より)