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理解も納得もできないこと

 ブラジルと日本の文化の違いは大きい。そんな考え方、捉え方をするのか―と考えさせられることが多いのだが、理解はできるが納得はできないものもある。そして理解不能なことも多い。どういう理屈で成立しているのだろう…と考え込んでしまったりする▼夜の10時過ぎ。食事も終え就寝前にリラックスした気分で読書を楽しんでいた。突如、窓ガラスがびりびりするほどの大音響が鳴り響き出した。車のスピーカーではなく、カーニバルの山車から流れるレベルである。何事かとベランダに出てみると、近隣住民も窓から身を乗り出している▼走り去ることなく、数十分鳴り続けた音楽は挙句、パラベンスに変わった。つまり、どこかの住人が誕生日を迎え、それを祝う人が業者を雇い、路上でお祝いのフェスタをやらかす「Disk mensagem」というのものだ。祝いたい、友達を驚かせたい気持ちは分かる。しかし「???」が頭の中に渦巻く▼周りの住民もさすがに、微笑みながら一緒にパラベンスを歌わない。明らかに迷惑がっている。誕生日を迎えた人は、嬉しいのだろうか。日本人だったら有難迷惑どころか怒るのでは。だが、喜ぶのだからこの商売が成立するわけだ。疑問なのは、ご近所さんとの関係…いや、そんなことを気にするようなら話はない▼そういえば、下町や田舎では、「おめでとう!愛してるよ◎◎」と書かれた写真入りの横断幕が道路にかかっていたりする。これは微笑ましいといえるが、やはり心理は分からない。ブラジル人を心底理解するのは難しい…そんなことを考えていたら、読書どころではなくなってしまった。(剛)