8月31日、ブラジルの最大手テレビ局、グローボの最高視聴率時間帯の「9時のノヴェーラ」で、新番組「ア・レグラ・ド・ジョーゴ(〃ゲームの規則〃の意)」がスタートした。
この時期は本来なら新番組スタートのタイミングではなかった。通常、グローボのノヴェーラの放送期間は8カ月が基本だ。
ところが前番組の「バビロニア」が同局の歴史上、最低の視聴率を記録し続けていたことで5カ月で打ち切り。急遽のてこ入れで新番組の放送がはじまった。
グローボの「9時のノヴェーラ」はブラジルのテレビ史に残る名番組の宝庫として知られており、数々の人気の役柄や流行語がここから生まれた。それらはブラジル人の会話の一部にも反映されている。ただ近年は、多チャンネル化の影響もあり、この黄金時間帯も低迷が続き、2作に1作は「史上最低」のワースト視聴率を更新し続けている状況だ。
背に腹は代えられないグローボは今回賭けに出た。脚本家には、近年の同時間帯では最大のヒットで、南米圏では現在も大ヒット中の「アヴェニーダ・ブラジル」(2012年)を手がけたジョアン・エマヌエル・カルネイロを採用した。
主役は、実力派性格俳優のアレッシャンドレ・ネロがつくが、同時間帯のノヴェーラで彼が主役になるのは2作ぶり。それこそ、その前の主演作「インペーリオ」は、今年の3月まで放送されていたばかり。これほど早く、主演役者が同じ時間帯に戻って来るのもきわめて異例だ。
新ノヴェーラ「ア・レグラ・ド・ジョーゴ」は「アヴェニーダ・ブラジル」を彷彿させる復讐劇になりそうな気配だ。ストーリーは、ネロが扮する、貧しい民衆の住居確保や犯罪者の社会復帰を支援してきた正義派の元市会議員ロメオ・ロムロを中心に展開する。
一見、誰の目からも尊敬を浴びていそうなロメオだが、その私生活は謎めいており、彼がかつて助けた怪しい過去のありそうなセクシー美女や、彼に復讐を企てようとする逃亡犯とその息子が絡む、というものになりそうだ。
「バビロニア」の大失敗や、同時間帯にライバル局のレコルデの人気ノヴェーラ「オス・デイス・マンダメントス(キリスト教史劇「十戒」のリメイク)」におされ、初回の放送はグローボ史上最低レベルとなった。だが、ネロの前作「インペーリオ」も初回の最低視聴率から持ち直して成功しており、さらにフォーリャ紙の初回放送の採点は最高点の三つ星を記録。今後に期待はできそうだ。