ブラジル音楽界では非常に重要な意味を持つ、エンターテイメント専門テレビ・チャンネル「ムウチショウ(MULTISHOW)」賞の授賞式が1日に行われ、今年も興味深い受賞結果の数々が出た。
今年で22回目を迎えるムウチショウ賞は、「一般投票部門」と「批評家選出部門」の二つに分けて紹介することから、子供からうるさ型の音楽通までが注目する音楽賞として注目されている。特に近年は音楽賞としてのステータスを増し、中継や受賞結果が大きく報じられるようになってきている。
まず、今年の一般投票部門だが、若きファンキの女王、ブラジル音楽界屈指の美女としても名高いアニッタが、最優秀ショーと最優秀アルバム(「ヒッチモ・ペルフェイト」)の2部門で受賞した。
また、セルタネージョ界最大の男性アイドルのルアン・サンターナが、「エウ・ノン・メレシア・イッソ」で最優秀大衆楽曲賞を受賞。現在のブラジル音楽界を代表する2人の強さを改めて証明した。
だが、批評家選出では例年、その顔ぶれがガラッと変わる。最優秀楽曲、最優秀新人賞を受賞したのは、フォーク、ロック系の36歳の女性シンガーソングライター、アヴァ・ロシャだった。このアヴァは、1960年代のブラジルの映画運動「シネマ・ノーヴォ」を牽引した伝説の映画監督、グラウベル・ロシャの娘だ。
前衛映画でブラジル映画界に刺激を与えた父同様、アヴァはメジャーのレコード会社に属さず、インディペンデント(独立系)のレーベルで活動していることでも話題だ。アヴァは受賞スピーチで、「インディのシーンのアーティストの創造性がいかに高いかを示せてうれしい」と語った。
批評家部門の最優秀アルバムは、90年代から活動を続けるセアラー州の無名のロックバンド、シダドン・インスチガードの「フォルタレーザ」が受賞した。彼らもスピーチでインディの誇りを口にした。
ムウチショウの授賞式は音楽ショーとしても毎年期待が高いが、今年は「サンバ誕生100周年」「アシェー誕生30年」、そしてカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルのデビュー50周年を祝うショーが行われ、ステージと客席が一体となって熱く賑わっていた。(1日付グローボサイトなどより)
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