ブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)は2015年度『下期業種別部会長シンポジウム』を20日、サンパウロ市内ホテルで「必ず復活!ブラジル経済―日系企業はどう立ち向かうのか―」を副題に開催し、約180人が参加した。各11業種の代表者から前期の振り返りと下期以降への展望が語られた。ほぼ全ての部会で、不況やレアル安の影響が説明され、上期同様「苦戦が続いている」との表明が相次いだ。
機械金属部会(渡辺健司部会長)は好調な部門として、製紙パルプ分野は以前世界的需要が高く、下期も継続すると見込んでいるとした。
しかし、業界全体ではレアル安にも関わらず、輸出先の中国経済の成長率低下、EU経済の不安定化により産業産業不振であるとし、下期でもそれは継続するとした。
自動車部会(溝口イサオ副部会長)では国内の生産台数や市場は当初予測から下方修正せざるを得ないが、中古車市場の伸びにより以前販売台数は毎年更新を続けており「依然としてポテンシャルの高さを感じとれる」と話した。
その中で日系3メーカーは躍進を続け、シェアを伸ばし続けているというデータを示し、「景気が悪いからこそ、安心できる買い物がしたい」という声の表れとした。
食品部会(藤江太朗部会長)は上期の振り返りを昨年末からの経済情勢の悪化が影響で「内外食供に低調である」とした。またレアル安の影響から輸入品価格が増加しているとした。
下期への展望として「当面は低調が継続」との仮定の上で、新商品発売等で将来成長への布石を打つのも手だとし、また中長期的な利益を見据え社会的な変化を捉え、構造変換を図るべきだとした。
コンサルタント部会(関根実副部会長)では現在は景気後退とインフレが同時に押し寄せる「スタグフレーション」の状態であると説明。
企業の対策案として「当面は我慢の時」とした上で、キャッシュ管理強化、人員入れ替え、本社からの増資要請を挙げた。また不況だからこそ、M&Aを考えてもよいと提案した。
電気電子部会(千野浩毅部会長)は日系企業への上期の回顧のアンケートで大半の企業が改善・維持と答えているものの「期待値には届いていない」と悲観。リオ五輪に向けても、「直接影響は無く、足元を固める時期にある」と説明した。
建設不動産部会(藤井健部会長)はゼネコン業界では日系企業の問い合わせは減少から、非日系に向けた事業で、現地企業との差別化を推進していることを説明した。
繊維部会(田中雅春部会長)ではレアル安により、原綿の輸出が伸びたが、国内景気低迷のため輸入減となり、輸出入収支は昨年より改善されているとした。
下期への展望としては景気の急回復が望めないなか、輸入の歯止めをかけ、国内産品の需要改善に期待がかかっているとした。
総括として登壇した中前隆博総領事は「政治スキャンダルの影響は大きいようだが、裏を返せばそれが解決させすればよいのではないか。日系企業は、これまでの高い評価を利用して進んでいくべき。総領事館として協力していければよい」と述べた。
同じく日本国大使館小林和昭参事官も「『必ず復活』というタイトルは心強く思った。中長期的には魅力、という各部会の報告には同感で、今後の成長に期待すべきでは」と結んだ。