ジウマ大統領は7日、ブラジリアの省庁前広場で毎年恒例の独立記念日の式典後、インターネット上の動画を通じ、第1期政権(2011~14年)の過ちを認め、国民に再建を約束した。だが、式典の傍らでは国民による抗議運動が冷ややかに行われていた。8日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領が、恒例のテレビやラジオによる宣言を行わず、動画での配信を選択したのは、独立記念日に自身に対するパネラッソが起こるのを避けたかったためとされている。動画は記念パレードが終わったすぐあとに流された。
大統領はこのビデオの中で「今、直面している苦境は、雇用や所得の安定や投資や社会政策の継続を図るために不可欠だと考えた政策を取り続けた結果だ」と発言し、自身の経済政策の失敗を認めた上で、「今後は全ての対策を見直し、切り詰めるべきところは切り詰めていかなければならない」と語った。
大統領はさらに、「過ちを犯したのなら、それを乗り越え、前進して行こう」と呼びかけた。ただ、そのためには「苦い薬を飲むことも必要だ。私たちが現在行っている対策は、インフレを抑制し、(景気後退に陥っている)ブラジルの経済を回復させるために必要なものだ」とした。現政権は8月31日に、増税や種々のプログラムの経費削減などを行っても305億レアルの赤字となる予算案を提出したばかりだ。
その上で「連邦政府はあきらめてはいない。私はブラジルを再び経済成長のサイクルに乗せて国民の生活を向上させ、雇用の機会を増やす準備ができている」と語った。
この日、ブラジリアのバスターミナル前では、独立記念日の記念式典と並行して、ジウマ大統領やルーラ前大統領、労働者党(PT)に対する抗議行動が行われ、8月16日のサンパウロ市でのマニフェスタソンで登場した囚人服姿のルーラ前大統領の巨大人形と、童話「ピノキオ」を意識した鼻の長く伸びた(嘘をついた、の意)ジウマ大統領の巨大人形が並べられるように登場した。
また、式典に参加した主要人物の顔ぶれにも、様々な思惑が表れた。大統領の隣に立ったミシェル・テメル副大統領は、3日に「7%の支持率では任期を全うできない」と発言し、政府内に微妙な空気を作った直後で、同氏が率いる民主運動党(PMDB)の閣僚は、6人中1人しか出席しなかった。
他方、政局調整(アルチクラソン)役のエジーニョ・シウヴァ社会通信局長官とアロイージオ・メルカダンテ官房長官の二人は、最高裁が5日にラヴァ・ジャット作戦の報奨付供述に基づく疑惑で捜査開始を命じたばかりだ。エジーニョ氏は06年のルーラ氏、10、14年のジウマ氏の大統領選キャンペーン会計として、メルカダンテ氏は10年のサンパウロ州知事選で、疑惑企業から金を受け取ったとされている。
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