サンタカタリーナ州フレイ・ロジェリオ市のラーモス移住地のさくら公園で5、6日、同文化協会(尾中弘孝会長)が『第18回日本祭り』を開催した。同市人口2500人を大きく上回る3500人が来場し、アトラクションや日本食を楽しんだ。初日の開会式ではオズニー・アルベルトン市長、在クリチバ総領事館の森田聡領事らが出席し、50周年記念誌『絆』の発刊式も行われた。
尾中会長は州から8万レアルの助成があったことを明かし「こういった活動ができるのは、州や市の協力のおかげ。今後も自然を愛し、文化を守る活動を続けたい」と謝辞を述べた。ロッキ・スタンゲリン州地域開発長官は「州としても文化振興に貢献しているこの祭に関係をもてたことは光栄」と称えた。
『絆』編纂委員会の山本和憲委員長は「過去を振り返る中に未来を感じさせる内容になっている」と約500頁、制作期間3年の大作への思いを述べた。歴史や各分野からの寄稿文、今後の事業計画などが全頁ポ語訳付きで掲載されている。
会場を盛り上げたのは地元「さくら太鼓」の演奏やパラグアイのイグアス移住地から18人の大所帯で駆けつけた「鼓組」や岩手県伝統の「鬼剣舞保存会」の演技。
観光に訪れていた南麻州のカンポ・グランデ文協婦人部一行40人の一人、城倉カオリさん(69、二世)は「小さな移住地なのに、これだけ文化を守ろうとする人がいることは素晴らしい」と感心していた。
やきそばや寿司などの日本食が販売される中、特に人気を博していたのが静岡県から取り寄せた日本茶で、600杯を売り上げた。地元の非日系人セリア・ガルビスさん(54)は「健康にいいという話は聞いていたけど味もいいわ」とすっかり気に入った様子。
最後は全員参加の盆踊り。主催者と来場者が一緒になり、笑顔で祭りは締めくくられた。会場を訪れたサンタカタリーナ州日系連合会・新里ヨシカズ会長は「この祭は非日系にも注目されており、他の州内の移住地にとっての良いモデルになる」と話した。
尾中会長は「日本茶を新産業に」という熱い思いを抱いている。過去5年分の気象データを静岡県「茶業研究センター」に送り、「適した気候」であるとの認定も受けた。すでに自家消費用に栽培している人もおり、中央開発コーポレーション(CKC)の研修制度を利用して静岡県への派遣なども検討中だ。
尾中会長は「まとまった生産には5年間は必要だろうが、現に少量の生産に成功している農家もある。若い人たちに向けて次の農業の道筋がつけられたら」と移住地の将来に思いを馳せていた。
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