ブラジル政府が来年度予算での赤字解消策として所得税の引き上げを検討している旨を、ジョアキン・レヴィ財務相は8日に発表したが、増税への動きに対し、ミシェル・テメル副大統領(民主運動党・PMDB)が「増税は最後の手段」として強く反対している。9日付伯字紙が報じている。
連邦政府が8月31日に305億レアルの赤字予算案を提出後、ジウマ大統領から基礎的財政収支の黒字目標は国内総生産(GDP)の0・7%を維持するとの約束を取り付けたレヴィ財務相は8日、パリで開催された経済協力開発機構(OECD)の会議に参加した後、赤字解消策の一つとしての所得税増税の可能性を示唆した。
同財務相は、所得税増税は「まさに今、連邦政府内で話し合われている問題だ。私は、この内容はより迅速に議会で話し合われるべきだと思っている」と語った。同財務相はブラジルの所得税は「OECDに参加する大半の国(ブラジルはまだ未加盟)に比べると低い」と見ており、増税は以前から政府内で話し合われていたが、その都度反対にあっていたものだという。
一方、ジウマ大統領は8日朝、連邦政府内の主要閣僚と会議を行い、赤字解消策を話し合った結果、増税の必要性があるということで意見の一致を見たという。
ただ、所得税増税は議会で承認を得る必要があり、金融取引暫定納付金(通称銀行小切手税、CPMF)導入のアイデアが議会や業界の強い反発にあって頓挫したいきさつを考えると、再び、議会で強い反発が起こることが懸念される。
そこで連邦政府は、議会での承認の必要のない税での増税も検討している。その「増税候補リスト」は、ガソリン税(Cide)や工業製品税(IPI)、金融取引税(IOF)などだ。
だが、これらの増税案に関し、テメル副大統領が強く反対している。同副大統領は連邦政府がCPMFを導入しようとしていた際に猛反対し、導入中止の一因となった。
テメル氏は8日朝の主要閣僚の会議には参加しておらず、同日、副大統領官邸で開いたレナン・カリェイロス、エドゥアルド・クーニャの上下院議長やPMDB所属の州知事、閣僚らとの夕食会でも、「苦い薬を飲ませるのは避けなければならない」と語ったという。この「苦い薬」とは、ジウマ大統領が7日のビデオ・メッセージで増税をほのめかす比喩として使った言葉だ。
レナン、クーニャ両議長も増税には反対の立場を取っているため、所得税増税に関する議会交渉は一段と厳しいものとなりそうだ。