いまや400万人ともいわれるシリア難民が陸続きの欧州を目指して大移動をしている最中、南米・ブラジルに難を逃れた人々もいる。
6日付エスタード紙によると、過去2年でブラジルが発行したシリア難民へのビザ発行数は2077件で、陸続きのためにずっと多くの難民が流れこんでいる南欧諸国の発行数より多い。同紙によれば、南欧諸国のビザ発行数は、スペイン1335件、イタリア1005件、ポルトガル15件などとなっている。
ブラジル法務省管轄の国内難民委員会(Conare)は2年前、シリア難民へのビザ給付を容易にする規定書を発表した。それにより、ブラジルはシリア難民にとって主要な避難先の一つとなった。
「ブラジルは難民に避難所を提供することで国際公約と国内法を遵守している。内戦で母国を離れる事を余儀なくされた難民にとり、移住は唯一の生き延びる道だ」とベト・ヴァスコンセロスConare委員長は語った。
ブラジルが今年7月末までに受け付けたシリア人からの難民申請は8400件で、昨年通年の7609件より10%以上多くなっている。Conareによると、シリア難民の70・7%は男性で、18~39歳が65・6%を占めるが、19%は17歳以下だ。
移民問題が専門のペドロ・ダラリUSP国際関係研究所長によると、過去2年間にブラジルに来たシリア難民は本国では高水準の暮らしをしており、教育水準も高いという。
シリアでは建設会社の社長だったが、内戦のために全財産を手放して7人家族の旅費5600米ドルを工面してブラジルに着いた時には、所持金が29ドルしか残っていなかったバハー氏のような例もある。
同氏の家族はブラジルに着く前、エジプトやモーリタニアに難を逃れようとしたが、そこでは大学就学が認められないなど、ブラジルと異なった扱いを受けた。「ここに残り、内戦のためにあきらめた医学部に入りなおしたい。診療所を開いて、両親に楽をさせてあげたいの」と21歳のアクランさんは語っている。(続く)
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