外交120周年を記念した『日伯経済セミナー』がブラジル日本商工会議所(村田俊典会頭)、日本経済新聞社、サンパウロ州工業連盟(FIESP)の3団体主催で2日昼、同連盟貴賓室で行われた。国際協力銀行(JBIC)副総裁・矢島浩一氏の講演や各業界の経営者を招いたパネルディスカッションが行われた。直前まで講演が予定されていたジョアキン・レヴィ財務大臣は急用により代読となった。
当日は約200人の経営者らが集まり、会場は超満員で立見も出た。矢島氏は、日本の製造業者へのアンケートでは治安や複雑な税制等「ブラジルコスト」を懸念する企業があることを、まず指摘。しかし「将来的な可能性がある市場」という回答がそれ以上であることを示し、「中長期的な利益を見込む企業が増えることが重要」と訴えた。
レヴィ財相の講演はフランコ・ネット経済政策局長官が代読。JICAやJBICの協力を受けたセラード開発、近年の日本式地上デジタル方式の導入等を挙げ、「ブラジルの開発にとって日本は重要な存在であった」と強調。今後も「日本の協力が日伯両国の利益になることを望んでいる」との期待を示した。
続いて、経済交流に関するパネルディスカッションでは、ブラデスコ銀行チーフエコノミストのオタビオ・デバロス氏は、ブラジルの「公共支出の抑制、インフラ整備の必要性」を訴え、三菱商事副社長・白木清司氏は、昨今の大規模デモについて「民主主義が根付いている証拠。真の先進国への過程」と前向きな見解を示した。
人的交流に関するパネルディスカッションではヤクルト商工会長・天野一郎氏は、「ヤクルトレディー」の制度等、日本的経営を取り入れてきたことを説明。また日系二世の社員が語学力で「企業の成長を支えていた」と振り返った。
日系三世でオンライン学習ギーキー創業者クラウジオ・ササキ氏は、同社の個々に合わせた教育方法を紹介した上で「日本の教育にはまだ改善の余地があり、我々の行うグローバルリーダーを育成するカリキュラムも必要だ」とし、日本進出を計画していることを明かした。