ホーム | ビジネスニュース | S&P社=ブラジル格付下げから一夜明け=国営公社、銀行も格下げに=政府は財政改善が急務
一層の緊縮財政と増税を求められるレヴィ財相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)
一層の緊縮財政と増税を求められるレヴィ財相(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

S&P社=ブラジル格付下げから一夜明け=国営公社、銀行も格下げに=政府は財政改善が急務

 【既報関連】米国の投資格付け会社スタンダード&プアーズ社(S&P)は9日にブラジルの格付けランクを「投資不適格」に引き下げた後、10日にブラジル企業24社(フォーリャ紙より、エスタード紙では23社)と12銀行の格付けを「投資不適格」に落としたと11日付伯字各紙が報じた。
 投資不適格企業の烙印を押された各社は今後、株価の下落や融資を受ける際の高利率に苦しむ事になる。
 S&Pは22段階に分けて格付けしているが、国営石油採掘公社のペトロブラス(PB)は、投資適格最低ラインのBBB-から一気に2段階ダウンのBB、さらに「下降傾向」の注釈もつけられた。同じく国営公社のエレトロブラス(EB)はその一つ上ながらも同じく投資不適格のBB+とされた。EBの子会社などのエネルギー関連企業や、国内高速道運営企業なども軒並み、投資不適格銘柄に転落した。
 ブラジルの信用格付けが下がれば、特に国営公社の格付けがあわせて下がるのは自明だ。S&Pは飲料会社のAmbev、メディア会社のグローボなどを含む6社の格付けも下げたが、これらの会社は「投資適格」の範囲内に収まった。
 ブラジル主要金融機関のイタウ・ウニバンコ、ブラデスコ、サンタンデールを始め、国営銀行の社会経済開発銀行(BNDES)、連邦貯蓄銀行、ブラジル銀行も、投資不適格銘柄に転落の憂き目にあった。
 S&Pは、金融機関の格下げについては「国の格付け以上のランクをその国の金融機関につけることは滅多にない。したがってブラジルの格下げに伴い、金融機関の格付けも下げた」と説明し、「経済の低迷が来年まで続くようなら、各銀行保有の資産や利益もますます下がり、それは中小規模の銀行で一層顕著になる」と続けた。
 風刺ジャーナリストのジョゼ・シモン氏はこの状況を評し、「ブラジルは2部リーグに降格しちゃった。なんてことだ。でも最下位のヴァスコより先に?」とのコラムをフォーリャ紙に寄せている。