ベネズエラの裁判所が10日夜、14年2~5月に起きた反体制派の抗議行動を扇動した罪などで、レオポルド・ロペス元チャカオ市長に13年9カ月余の実刑判決を下し、欧米諸国などが民主主義弾圧への懸念の声を上げていると11日付伯字紙サイトが報じた。
14年2月の抗議行動は野党側の政治家が呼びかけたもので、12日には3人、5月までの抗争では43人が死亡した。マドゥーロ大統領は2月12日のデモ後、ロペス氏を同大統領と同国政府に対する抗議行動を扇動し、殺人とテロリズムの罪を犯したとして告発。ロペス氏は2月18日に出頭、逮捕された。
同氏はベ国初代大統領のひ孫で、ハーバード大学出身の経済学者で政治家だが、身に覚えのない汚職の申し立てで08年選挙への出馬を禁じられた。有罪を示す証拠はなく、11年には米州機構がベ国政府に選挙参加を認めるよう指示を出したため、ロペス氏は「民衆の意思」と呼ばれる野党政党を結成した。
米国などは同氏逮捕は不当だと主張し続けていたが、今回の裁判では14年弱の厳しい判決が出た。共に起訴された学生の1人は10年、2人は4年の判決を受けた。
ロペス氏側の弁護士は「今回の裁判は政府側の意向をそのまま反映したもの」として控訴する意向で、妻のリリアン・チントリ氏も「国内で独裁政治色が強まった証拠」と評している。
判決時、裁判所前にはロペス氏支持者が集まっていたが、そこに体制派の人も来て抗争が起き、怪我人が出た他、ロペス氏支持者の一人が心筋梗塞を起こして死亡。民衆の意思党は、政府の要請で体制派が集まったために抗争事件が起きたとする抗議文を出した。
国会議員選挙を12月6日に控え、マドゥーロ氏の政策に国内外からの批判の声も高まる中、米国や欧州同盟(EU)関係者らは、裁判は不透明で判決は不当として、民主主義弾圧を懸念する声を上げている。