今後数カ月、大規模な〃エル・ニーニョ〃現象(EN)発生が予想されており、それによりブラジル北東部の渇水が一段と悪化し、10月から来年4月にかけての同地域のダム貯水率は、危機的状況に陥る可能性があると12、14日付エスタード紙が報じた。
これにより、現在稼動を中止している、水力発電より高コストの火力発電所の再稼動が必至と見る向きもあり、需要ピーク時の電力供給が間に合わなくなる可能性さえあると、ロイター通信に答えた専門家もいる。
現在発生しているEN現象は今年末までに勢いを増し、今年10月から来年1月に最高潮に達する見込みで、世界気象機関(WMO)は、1950年以来最大規模になると予想している。
北東伯の場合、強烈なEN現象は、現在17%まで落ち込んでいるダムの貯水率を回復させるのに必要な、雨の訪れを阻む可能性がある。
コンサルタント会社エンジェーノ社のレオンチナ・ピント氏は、「北東伯の発電所のダム貯水率は既にとても低い。これ以上雨が降らなければ最悪な状況になる」と語ると共に、北東伯の電力の6割を賄うソブラジーニョ発電所のダム貯水率が現在11%である事に触れ、「貯水率が10%を切ったら水力発電はできない。同ダムの事はかなり前から懸案事項になっている」とした。
気候変動を研究し、地球温暖化現象は人類の生産活動によるものだと全世界に啓発してきた気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は15~18日、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポスの国立宇宙調査研究院(INPE)で、「地域の気候予測と影響やリスクの研究への利用」という題のワークショップを開く。 INPEがIPCCのワークショップ開催地に選ばれたのは、ブラジルではここ数年、温暖化がもたらすリスクに関する研究が進展してきたことがかわれたためだ。
IPCC幹部のクリストファー・フィールド氏は、「現在ブラジルで起きていることは気候変動の危機がいかにして深刻化していくかの一例で、特にIPCCが知識を深めなくてはいけないトピックの一つだ」とした。