現在、思わぬ番組がブラジルのテレビでブームを呼んでいる。それが「マスター・シェフ」(バンデイランテス局)だ。これは「未来の有名シェフ」を目指して集まった料理人たちが腕を競って毎週戦いあう番組で、この番組の最新シーズンが15日夜22時30分放送開始分で最終回を迎える。
ここ最近、この「マスター・シェフ」の一般視聴者の人気の加熱ぶりはすさまじい。火曜の夜も遅くなると、その結果をめぐり、ツイッターやフェイスブックがその話題一色となる。
中でも印象的だったのは先週、中国系ブラジル人女性のジアングが3位で脱落したときだ。温厚でユーモアのセンスもあった彼女は番組でも圧倒的な人気で、ある熱狂的なファンたちはジアングの落選を評し、ツイッターで「僕たちにとっての1対7だ」「いや、それ以上だ」と昨年のサッカーW杯と比較するまでの騒ぎになっていた。
こうした人気により、ブラジル国内で視聴率4位に過ぎないバンデイランテス局にも関わらず、この番組の視聴率は、大手のグローボ局の同時間帯の番組の視聴率さえ抜く事態も起きている。
この現象に他局も刺激を受けている。グローボ局は奥様番組の人気司会者、アナ・マリア・ブラガを司会に据え、「スーペル・シェフ・セレブリダーデ」という番組を開始している。これはアナが、ブラジルの有名人たちをシェフ見習いで参加させ、実習で料理を勉強させ、その腕前を競わせるというものだ。
また視聴率2位のSBT局は、土曜の夜という視聴率の稼ぎ時の時間帯に、ケーキ職人の腕前を争わせる「ベイク・オフ・ブラジル」を放送している。この番組も、同じ時間帯に放送のレコルデ局の人気タレント、サブリナ・サトウの人気バラエティ番組を脅かす勢いだという。またSBT局は、「料理人コンテスト番組」の老舗番組、アメリカの「ヘルズ・キッチン」を翻訳して地上波放送してもいる。
また、この余波はケーブル局の番組にまで波及している。もともと「マスター・シェフ」はイギリスの番組で、それをブラジルのケーブル局TLCが放送し、そのブラジル版をバンデイランテスが作ったことで一般にも知られるようになったのだが、今やTLCは、この「マスター・シェフ」のカナダ、オーストラリア、アルゼンチン版まで放送している。
さらにグローボ系列のケーブル局GNTでは、子役俳優たちが課題の料理を作る料理教育番組「ケ・マラヴィーリャ・キッズ」を放送し、好評を博している。
こうした状況下、「マスター・シェフ」では、番組内の30秒のTV―CMのスポンサー料が通常は12万レアルなのに対し、最終回は27万レアルに跳ね上がっているという。
その注目の最終回は、男性シェフのラウル・レモスと女性シェフのイザベル・アウヴァレスとの間で競われる。(15日付フォーリャ紙より)
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