ジョアキン・レヴィ財務相とネルソン・バルボーザ企画相は14日、記者会見を行い、16年予算案の赤字を補填し、基礎的財政収支を黒字化させるための方策を発表した。連邦政府は、260億レアルの支出削減を行う一方、一度は見送った銀行小切手税(CPMF)復活を盛り込むなどして456億レアルの増収を図り、344億レアルという基礎的財政収支の黒字目標達成も見込んでいる。15日付伯字紙が報じている。
連邦政府にとり、今回の修正予算案は今後の政権運営のカギも握る重要なものだ。それは前回、305億レアルの赤字計上のまま議会に予算案を提出したことが、国際的な投資格付の権威、スタンダード&プアーズによる信用格付引き下げと優良債権国からの陥落を招いたからだ。
ジウマ大統領は当初、305億レアルの赤字補填は増税でと考えていたが、ミシェル・テメル副大統領や上下両院の議長ら、連立与党の最大パートナーである民主運動党(PMDB)が支出削減を強く求めた。結局、支出削減額は、昨日報じた200億レアルからさらにあがって260億レアルに至った。
支出削減の最大部分は国家公務員の給与調整を1月から8月に遅らせることで生じる70億レアルの節約となった。その他、省庁や職員削減に伴うカットも含まれた。
注目されるのは、社会政策でもあるミーニャ・ヴィーダ、ミーニャ・カーザ(MVMC)で48億レアル、MVMC以外の経済活性化計画(PAC)でも38億レアルが削減されたことだ。MVMCやPACはルーラ政権時代から続く労働者党(PT)政権の看板政策で、ルーラ氏は既にこれらの経費削減に対する不満を表明している。ただし、ボウサ・ファミリア(生活扶助)は維持される予定だ。
一方、増収の柱は、テメル副大統領や議会、企業家らの反対にあって見合わせたCPMFを、課税率を0・2%に下げた上、4年限定で復活させる案だ。これだけで増収分の7割相当の320億レアルを見込んでいる。
しかし、増税の実現は容易ではない。今回の増収分のうち、議会承認を必要としないものは20億レアル分しかない。今回の発表を受け、エドゥアルド・クーニャ下院議長は「CPMF承認の可能性はなくはないが」と話したが、CPMFの承認は憲法改正に当たるため、上下両院で2回ずつ、それも5分の3以上の賛成が必要となる。
また、公務員や社会運動団体は、給与調整の遅れや社会政策費などの削減に早くも反対の意を示している。企業家らもCPMF導入や、SESCやSENAIなどの「システムS」と呼ばれる職能教育機関への支出を60億レアル削減することに不満の声をあげており、調整難航は必至だ。