14日に発表した16年度予算案の補正案が議会からの強い反発を受ける中、連邦政府は政局調整(アルチクラソン)を強化する必然性に追われているが、アロイージオ・メルカダンテ官房長官(労働者党・PT)の去就をはじめ、今後の人事で様々な憶測が飛び交っている。17日付伯字紙が報じている。
来年度予算案の赤字を埋め、基礎的財政収支の黒字目標達成を目指す補正案は、17項目中16が議会の承認を必要としている。そのため、議会対策は万全を期さなければならないが、そこで連邦政府内外で不安視されているのがメルカダンテ官房長官の存在だ。
メルカダンテ氏はジウマ大統領の信任が厚い一方、ミシェル・テメル副大統領(民主運動党・PMDB)や連立与党関係者からは「自己中心的」として受けが悪く、エドゥアルド・クーニャ下院議長(PMDB)率いる下院では、今年に入ってからの連邦政府の提案は敗戦続きだ。
この実績にルーラ前大統領は強い不満を抱いており、官房長官を同氏からジャック・ヴァギネル国防相に交代させるよう望んでいた。
ジウマ大統領としては第1期政権の最終年(14年)から右腕的存在として重用していただけに、14日にも「メルカダンテ氏の解任は考えていない」との声明を出している。
だが、ここに来て、ジウマ大統領に対するメルカダンテ氏交代への圧力は強まっている。14日には予算案の補正案について話し合うために集まった連立与党の知事たちが、議会との間のアルチクラソンを代えるよう要求を出したが、率先したアクレ州のチオン・ヴィアーナ氏とピアウイ州のウェリントン・ジアス氏は、共にPTの知事だ。また、PTの左派は17日、メルカダンテ氏とジョアキン・レヴィ財務相の解任要求を行うための会議も行っている。
こうした中、テメル氏がアルチクラソンを辞退した後、大統領から調整役を委ねられているリカルド・ベルゾイーニ通信相が大統領府総務長官となり、カチア・アブレウ農相(PMDB)が官房長官職に就くとの説も流れはじめた。ベルゾイーニ氏はPT元党首で、第一期ジウマ政権では政局調整担当長官をつとめている。また、元下議で議会ともよい関係を保っている。
一方、連邦政府が14日に打ち出した予算案の補正案中、「公務員の給与調整の延期」「議員割当金の用途限定」、「システムSへの援助金を福祉部門に回す」の3点は議会や企業、公務員から強い反発を受けており、早くも案の修正または撤回を余儀なくされる状況に追い込まれている。