ブラジルでの春は23日午前5時20分からだが、サンパウロ市ではここ数日、最高気温が35度前後という暑い日が続いている▼冬はどこへ行ったのかと言いたくなる毎日は、北東伯から中西伯、南東伯まで広がる乾燥した大気の塊が寒冷前線の接近を拒んでいるために生じており、北東伯などでは歴史的な干ばつも起きている▼一方、寒冷前線が押し寄せる南伯は、水害を伴う、荒れた天候が続いている。日本に目を転じれば、史上2番目に強くなるとされるエルニーニョは、鬼怒川の堤防決壊などを招く程の台風が例年以上に発生する原因でもある。太平洋の水温上昇は南米では大雨と干ばつを招くため、ペルーなどは今年のエルニーニョは強力と報じられた途端に洪水対策強化を始めた▼海水温や酸性度上昇は人類の諸活動が原因といわれて久しく、地球温暖化とも密接に関係しているが、各国の思惑などが先行し、平均気温の上昇幅を産業革命前の2度以下に止めるための世界的な合意は一向に成立していない。年々増える車や排気ガス、人もいないのに点いている電気など、誰もが毎日繰り返している行為が温暖化に繋がっているのだから、人類は自分で自分の首を絞めている事になる▼悪い事にこれらの行為の結果はその場で見えないし、気づいた時は手遅れという可能性もある。飲み水さえ不足して戦争が起きるとの声は地球温暖化が叫ばれ始めた頃から出ていたのに、現状はほとんど不変のままだ。サンパウロ州の水危機もある意味で無秩序な森林伐採などの結果だが、為政者達は科学者達の警鐘に耳を貸さなかった。昨夏は扇風機が飛ぶように売れたブラジル。これもある面、自分の首を真綿で絞める行為だが。(み)