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レアルが市場最安値を記録=遂に1ドル=4レアル割る

 ブラジルでは連邦政府が来年度の基礎的財政収支黒字化に躍起になり、国庫支出を抑えるための大統領の拒否権行使までひっくり返そうとする議会との調整に追われたりする中、レアルは遂に1ドル=4レアルの大台を割り、史上最安値を記録。今年に入ってからだけで52・47%のドル高レアル安となった。
 基礎的財政収支が赤字となるのを覚悟の上で来年度の予算案を作成、提出した8月31日以降、信用格付けの低下によって、予算案を補正して基礎的財政収支の黒字化を図る必要に駆られた連邦政府は、国庫支出を増やすような法案に対して行使した大統領拒否権までひっくり返そうとする議会の動きを前に、これ以上の財政悪化を避け、信用格付けの更なる低下を避けるべく、再び奔走させられた。
 一方、米国の中央銀行にあたる連邦準備理事会(FRB)が利上げをした場合、ブラジルを含む新興国をはじめとする世界経済や金融市場への影響を懸念する声は、世界中に広がり、22日も世界的なドル高傾向が記録された。
 そんな中、ブラジルの通貨レアルは新興国の通貨の中で最も対ドルでの価値を失っている。それは、ブラジル国内の政治的、経済的な危機が、レアルへの信用も失わせているからで、連邦政府と議会が対立するかの動きや大統領への罷免請求など、ブラジル国内の不安定さを示し、今後への不安を招く材料には事欠かないのが現状だ。
 22日の為替市場は、その前日に中央銀行が予告通り、市場介入したにも関わらず、4分間しか持ちこたえられなかった事を裏付けるかの如く、取引開始早々の9時10分には1ドル=4・0107レアルなど、1ドル=4レアル超の状態で1日中推移した。終値は1ドル=4・0538レアルで、一時的に記録した1ドル=4・0607レアルより下がったものの、2002年10月10日に記録した1ドル=3・98レアルは超えたまま、取引を終えた。
 22日夜の議会の動きへの懸念や、FRBの利上げを予想してブラジル市場のドルを引き上げようとする動きが為替の変動幅を大きくする状態がいつまで続くかは判断が難しいが、ブラジルの中央銀行は、ドル高傾向はそろそろ落ち着くと見ている。中央銀行が行った市場調査の最新ヴァージョンでは、今年末の為替は1ドル=3・86レアルと予想しているが、来年の予想は1ドル=3・80レアルから1ドル=4レアルに上方修正されている。(22日付G1サイトなどより)