日本政府が2016年度内の開設を目指す広報文化施設「ジャパン・ハウス(仮称、以下JH)」の第1回運営委員会が22日午後、在聖総領事公邸で行なわれた。委員はサッカー元日本代表監督のジーコ氏ら9人。会合に出席した外務大臣政務官の薗浦健太郎衆議院議員は、「日系社会と連携したブラジルならではの施設にしたい」などと狙いを語った。
運営委員は以下9人。青木智栄子(ブルーツリーホテルズ社長)、カイオ・ルイス・デ・カルヴァーリョ(テレビ局バンジアルテ1社長/元観光大臣)、呉屋春美(文協会長)、村田俊典(伯日商工会議所会頭)、ジョアン・グランディーノ・ローダス(元サンパウロ州総合大学長)、ロベルト・ロドリゲス(元農務大臣)、渡部和夫(元サンパウロ州高裁判事)、ジーコ(サッカー元日本代表監督、当日欠席)、中前隆博(在聖総領事)各氏。
在聖総領事館が人選、委員長は中前総領事が務め、年4回開催する。今年1月、現地視察に訪れた薗浦政務官が日本政府を代表し委嘱状を手渡した。報道陣に公開された会冒頭には、「日伯双方の需要をマッチングさせる運営委員会はJHの生命線。何をすれば人が集るか話し合っていきたい」とあいさつ。委員会の重要性を説明した。
会合を終え同政務官が取材に応じ、「プロジェクト始動に立ち会えたことを嬉しく思う。そうそうたるメンバーから様々な意見頂いた」と所感を述べた。『日本の歴史や最先端技術を紹介してほしい』などの意見が挙がったらしく、「16年度内の開設に全力を尽くす」と話した。
開設地については「いくつか候補地がある。現地と相談、審査を経て良い物件を決めていく」。予算規模は英ロンドン、米ロサンゼルス3館合わせ36億円(コンテンツ含む)とした。
さらに「ブラジルではもちろん、日系社会との連携が重要」と強調。日本で取り組む地方創生を引き合いに、「例えば各県の代表団が訪伯しJHで物産展を開催しするなど、県人会や日系団体と連携しイベントを開催して頂きたい。県の売り込みになり、ブラジル側にとっても出身県関係者と交流機会を密にできる」などと具体案を示した。
4日付け官報では、サンパウロの事業主は広告代理店の電通に決まったと発表、正式契約に向けた手続き中とのこと。
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JH運営委員会の陣容は元大臣、元学長、元代表監督ら立派な「元」が目立つのと、いかにもブラジル社会向けの人材揃いという印象が強い。一見コロニアの代表に見える文協会長も元サンパウロ州税務局幹部職員だし、渡部和夫さんも元州高等裁判事という自己認識が強い面々。いわゆる「コロニア生え抜き」的人材が皆無なのが人選の特徴か。花火大会もそうだったが、いくらテレビや新聞でブラジル社会に懸命にPRしても、日系社会に響くとは限らない。「日系社会と連携を」と本気で言うなら、外務省主導で立派過ぎて空回りしないように、コロニア生え抜きの人材や組織も入れてみたら?
◎
JHは日本国外3都市に設置される。22日のサンパウロ市運営委員初会合に先立ち、ロンドンでは現地時間7日、ロサンゼルスでは同21日に各運営委員会が行なわれた。薗浦健太郎外務大臣政務官は3館全てに出席しており、ロスでの会合を終えた足でサンパウロへ。当地滞在はなんとたったの5時間だったそうだ(本人談)。同氏はツイッターで〃0泊5日〃という今回の強行日程を紹介。コロニア行事の視察などもできれば最良だが、そんな時間もなかったようだ。