サンパウロ市や大サンパウロ市圏では今年、警官や市警備隊員の関与が疑われる市民虐殺事件が少なくとも7件起きており、自分達で犯罪者に鉄槌を下したり、個人的な恨みを晴らしたりする例も含まれている可能性がある。
最大の事件は8月13日夜、大サンパウロ市圏のオザスコ、バルエリ両市で襲撃事件が連続発生し、19人が犠牲になった虐殺事件だ。1カ月半近く経った今も犯人は捕まっておらず、唯一逮捕されている軍警も証拠不十分で、釈放のプレッシャーが高まっている。
オザスコ、バルエリ市虐殺事件の容疑者として逮捕されているのはトビアス・デ・アギアル巡回機動隊(軍警)のファブリシオ・エマヌエル・エレウテリオ容疑者だが、逮捕の根拠となった証拠も捜査の中で説得力を失いつつあり、軍警も釈放を考え始めたと25日付フォーリャ紙が報じた。
軍警監察局は軍警裁判所に提示した文書に「虐殺事件の生存者の中にエレウテリオ被告を見たという証人がいる」と記載したが、この証人が本当に攻撃されたことを示す証拠も、どのようにしてこの証言者を見つけたかも示されておらず、裁判官が証言の信憑性に疑問を投げかけている。
虐殺事件は午後8時半から11時半の間に起きたが、携帯電話の通話記録や車の走行記録も、同容疑者が恋人の家にいた〃アリバイ〃を示すのみで、「虐殺の生存者」とされる人物の証言を裏付けるのには役立っていない。捜査対象となっている他の軍警との通話記録も見つらなかった。
軍警監察官は、容疑者が別の車で出かけた可能性や、同容疑者の携帯電話を別の人が使った可能性もあるとし、同容疑者の虐殺関与の可能性を完全には否定していない。同容疑者は13年の虐殺事件への関与を疑われ、長期間、軍警刑務所にも入っていた。
8月13日の事件は同月7日の軍警殺害事件がきっかけと見られている。同地域では8、9、10、12日にも連続襲撃事件が起き、計13人の死者が出ている。24日には、19日未明にカラピクイーバで起きた青年4人の虐殺事件の容疑者として、軍警が1人逮捕された。
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