ジウマ大統領は27日、ニューヨークの国連本部で開かれた、持続可能な開発目標を議論する特別首脳会合(サミット)で演説を行い、2025年までに温室効果ガスの排出量を2005年比37%減、2030年までには同43%減にすると宣言した。この目標値は他国よりも高い数値だ。28日付伯字紙が報じている。
今回ジウマ大統領が発表したのは各国が自主的に決定する約束草案(INDC)で、今年の12月にパリで開かれる世界気候会議に向けて、地球温暖化を防ぐべく、温室効果ガスの排出を防ぐために各国がどのような貢献が出来るかを具体的に示したものだ。
これに関しジウマ大統領は、2025年までに年間の温室効果ガス排出量を、2・04ギガトンだった2005年より37%減の1・30ギガトンとし、2030年までには同43%減の1・16ギガトンにすると発表した。
米国や日本も同じく2005年比で2030年の目標を発表しているが、米国は32%、日本は25・4%だから、ブラジルの目標値はこれらの国より高い。目標発表の期限は10月1日で、かなりぎりぎりになっての発表だが、ブラジルの目標は既に発表された中で最も野心的なものとなった。
もっとも2012年のブラジルの温室効果ガス排出量は、2005年より41%減っており、2025年までに37%という削減目標は排出量が増加することになるが、ジウマ大統領は「経済成長のためにどうしても必要」と説明した。
また、同大統領は同時に、農牧地開発のための森林伐採は2005年に2万平方キロだったが、2014年は5012平方キロまで、実に82%も減ったとのアピールも行った。
大統領は森林伐採問題に関する数値目標として、2030年までに森林伐採地1200万ヘクタール分の再植林、荒れた牧草地1500万ヘクタールの回復、500万ヘクタールの農地、牧草地、森林の統括を行うことも発表した。
さらに、2030年までに、エネルギー需要の45%を再生エネルギーとする計画も発表した。同年までには総発電量の66%を水力発電、同16%をエタノールやバイオマスを利用した発電とする意向で、エネルギー生産の23%は風力発電や太陽光発電で賄う。
また大統領は、ベロ・モンテ発電所などの水力発電所の建設が遅れていることを認め、改善を目指していくと約束した。
ジウマ大統領の発表に対し、環境問題の専門家たちはおおむね好意的な反応を示した。だが、アマゾンの森林地帯は温室効果ガスの問題で大きな部分を占めるところでもあり、「まだ削減は可能だ」とする向きもあった。
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