労働省発表によると、ブラジルは8月末までの12カ月間で98万5700人分の正規雇用が失われたと26日伯字各紙が報じた。この数値は同期間に失職した人の数から、新たに就業した人の数を引いたもので、年末商戦やバカンスシーズンも状況改善の特効薬にはならないと見られている。専門家達は雇用状況の改善は16年下半期以降になるとしている。
8月は正規雇用者数が8万6543人分減少した。毎年8月の実績を比べた場合、95年の11万6900人マイナス以来の悪い数値で、今年4月から5カ月連続の減少ともなっている。
産業別に見た場合、製造・加工業(47万4700人減少)と、土木建設(38万5200人減少)が全体の減少分の87%を占めているが、直近12カ月では全ての分野で正規雇用が減少しており、正規雇用者が増えた分野は一つもない。
今回の統計では、従来は雇用が増えていたサービス業、金融業なども、鉱工業その他の分野と同様に、需要の低下と余剰在庫など、景気後退の影響を受けている。
サービス業も、ここ12カ月で4万1200人減少を記録し、商業も4万3500人減少した。「サービス業や商業も景気後退の影響を受け始めた。これで年末商戦や観光地、土産物屋などの期間限定雇用も影響を受ける事は必至だ」と全国商業連合(CNC)のエコノミストのファビオ・ベンテス氏は語った。
今後も正規雇用は減り続けると予想され、今年の雇用喪失は、CNCとGOアソシアードス社が共に120万人分、テンデンシアス社は150万人分に達するとの見方を示している。
これまで最悪の雇用喪失は、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ政権時代の98年のもので、年間で580万人分の正規雇用が失われた。
今年に入って最も正規雇用者が減っているのはサンパウロ州で、2・56%減となる33万3千人分の正規雇用が失われた。減少率が一番大きいのはアマゾナス州で、5・27%減となる2万5千人分の正規雇用が失われた。
マノエル・ジアス労働相は、8月の雇用喪失は7月より少なかったとしつつ、今年は100万人以上の正規雇用者を失う可能性を示唆した。
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