ブラジル日本都道府県人会連合会(本橋幹久会長)とブラジル日本語センター(板垣勝秀理事長)は20日、サンパウロ市のブラジル広島文化センターで『第36回スピーチコンテスト』『第9回弁論大会』を開催した。弁論大会はタボン学園(サンパウロ州タボン・ダ・セーラ市)の本田稔さんが1位となり、副賞の日本往復航空券を獲得。同学園から2年連続で優勝者が誕生した。
スピーチコンテストA、Bと弁論の部の全3カテゴリーに計32人が出場し、父兄ら150人以上が駆けつけ声援を送った。スピコンBは日本語能力試験N3程度が対象で、和太鼓グループでの体験談や自身が訪日した話題などをテーマに8人が出場した。
非日系のマルコ・アントニオさん(20)は大の戦隊モノ好きとあって『スーパーヒーロー』をテーマに設定。「ウルトラマンや仮面ライダーは僕の憧れ。ブラジルでは人形が高いので、秋葉原に行って安く買いたい」などと笑顔で話した。
スピコンAは同試験N2程度以上を対象とし8人が出場。原爆投下70年となる今年、飛瀬マリアさん(18、四世)は「歴史から未来へ」をテーマにし、原民喜の名詩『コレガ人間ナノデス』の一節を読み上げ、「原爆の恐ろしさを未来に伝えなければ」と語り見事優勝に輝いた。
サンパウロ州リベイロン・プレット生まれで、幼少期はバストスの日語校で学び、現在はサンパウロ市のアリアンサに通う。「間違えた部分もあってスムーズに話せなかった」と悔やみつつも栄冠を喜んだ。
『私のルーツ』がテーマの弁論大会には16人出場。帰伯子弟も混じり高レベルな争いだった。日本で教育を受けた堀田亮二さんが2位、当地学習者の川原明さんが3位となり、「白ご飯こそ私の原点。フェイジョンと一緒に食べると文化の融合を実感する」などと語った。
そんな中、タボン学園で学ぶ本田稔さん(21、三世)が、「祖母の教えである〃もったいない精神〃が染み付いている。おかげで私の部屋には必要のないものばかり」と笑いを誘って1位に輝いた。
「発表前はドキドキだった。緊張して80パーセントほどの出来だったため、まさか優勝できるとは」と喜んだ。副賞の日本往復券を手にし、3回目の訪日に胸を膨らませた。家族も応援に駆けつけ、母の留美さん(49、二世)は「優勝するなんて驚き」と喜びの声を挙げた。
昨年の滝浪磨輝さんに続き、同学園は2年連続で優勝者を輩出。教師歴25年の大野宏江さん(69、京都)は「部門をまたげば4年連続で優勝者を出したのでは。生徒には日常から日本語を使うように意識付けしている」と好成績を残す秘訣を語った。
審査委員長を務めた日語教師の志村マルガレッチさんは「非常に僅差で順位のつけづらい大会だった。帰伯子弟とコロニア学習者で差が詰まっている」と称え、「情景が伝わるよう豊かな表現を多用してさらなる向上を」と総括した。
成績上位は次の通り(順に1~3位、敬称略)。【弁論の部】本田稔、堀田亮二、川原明 【スピーチコンテストA】飛瀬マリア、大場亜由美、中原一男 【同B】横飛秀男、西川ゆかり、広瀬清幸
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タボン学園の活躍が印象的だったスピコン&弁論大会だが、他にもスザノ、ピラール・ド・スール勢もかなり目立っていた。またコロニア・ピニャール(福井村)は6人の出場者を送り出し、地元からの応援団約30人に、福井県人会の西川修治会長らが声援を送る熱狂振りを見せた。同地の太鼓グループ「飛翔太鼓」は第12回ブラジル太鼓フェスティバル(7月、サンパウロ州サンベルナルド市)のジュニア部門で優勝しており、その勢いもあってか、なんと半数の3人が表彰台に上がった。太鼓やヨサコイソーランを一生懸命取り組むところは、実は日本語教育にも熱心?!
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