新興国の成長や回復が鈍化している事を受け、国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長見通しを下方修正する意向だ。
クリスティーヌ・ラガルド専務理事によれば、「世界全体の国内総生産(GDP)は今年が昨年比3・3%、来年は3・8%成長するとの見通しはもはや現実的ではなくなった」という。
同理事によれば、これまで世界経済を牽引してきた新興国は成長速度が落ちており、逆に先進国が加速してきているという。また、米国連邦準備制度(FED)が、金利の引き上げを開始するのは米国全体の回復が確認できてからにするべきとのIMFの意見を聞いてくれると信じている。
同理事によれば、世界全体の経済活動を押し上げるには米国が現行の金融政策を維持する事が必要だが、それだけでは不十分で、ドイツやオランダといったユーロ諸国も消費促進のために金利を維持または引き下げる必要があるという。予算の調整率がGDPの0・3%以内なら、ユーロ圏では緊縮財政の必要はないとの見解も示した。
ラガルド氏の任期は16年7月までだが、IMFの審議会は、もう1年任務を遂行するため、専務理事選挙に出馬するよう要請している。同氏自身は、出馬は家族の状況次第だとしているが、もう一度フランスの政界に戻る気があるかとの質問には、「正直に言えば、政界に戻る事はないと思う」と答えた。
新しい経済見通しは10月に発表されるが、ブラジル国内でも、中央銀行が24日に、今年のGDPの成長見通しをそれまでのマイナス1・1%からマイナス2・7%に下方修正、インフレ率は9%から9・5%に上方修正した他、雇用の喪失と失業率の上昇といった報道が続いている。(28日付アジェンシア・ブラジルなどより)