省庁削減が大詰めを迎える9月30日、ジウマ大統領(労働者党・PT)は第一期政権最終年から右腕的存在だったアロイージオ・メルカダンテ氏(PT)を官房長官から教育相へ配置換えすると民主運動党(PMDB)に知らせた。PTはその他にも予算の大きな保健相を失うなど勢力を弱める一方、民主運動党(PMDB)の台頭を認めざるを得ない状況となっている。9月30日付伯字紙、および同サイトが報じている。
メルカダンテ氏の官房長官降格は、議会との政局調整(アルチクラソン)での同氏の評判の悪さを嫌った、PT幹部や議会最大勢力のPMDBからの願いであり、ルーラ前大統領もかねてから希望していた。だが、ジウマ大統領は頑なにそれを否定していた。
だが、16年度の予算を黒字化させ、基礎的財政収支の黒字目標を達成するための財政調整案を議会で通過させなければ国際市場におけるブラジルの立場や経済がますます悪化し、自身に対する罷免審議を食い止めるのも難しくなることもあり、大統領も背に腹は代えられなくなった形だ。
9月30日、ジウマ大統領はメルカダンテ氏と会談し、同氏が官房長官になるまで就任していた教育相への復帰を伝えた。この配置換えはメルカダンテ氏周辺でも「避けられない」ものと判断していた。
官房長官の後任はルーラ氏がかねてから望んでいたジャック・ヴァギネル国防相(PT)が有力で、その後任はアウド・レベロ科学技術相(ブラジル共産党・PC Do B)と見られている。
また、この前日の9月29日、ジウマ大統領はアルトゥール・シオロ保健相(PT)に電話で解任を伝えた。同相は省庁間で最大の1210億レアルの予算を持つ重要ポストで、後任にはPMDBのマルセロ・カストロ氏が就く見込みだ。
この省庁削減では10の省庁が減らされることになっているが、PMDBの枠は現状の6人から7人に増えると見られている。当初は5人に削減される可能性もあったが、PMDBの下議たちが、今回の改編で最大ポストの保健相ともう一つの大臣職を同グループから確保するのを譲らず、さらに同党のミシェル・テメル副大統領のグループからの人脈も確保したい意向から、増枠を避けられない状況だ。
今回の改編では、しばらく連立を離れていたブラジル社会党(PSB)の連立復帰も噂されている。同党はエドゥアルド・カンポス元党首の大統領選出馬で連立を離れたが、同氏は昨年、飛行機事故で急死し、同氏の代理で大統領選に出馬したマリーナ・シウヴァ氏も新党承認で離党して、支障はなくなっている。
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