ルーラ政権時代の2010年に通過した、自動車製造業者に対する税優遇処置の延期を認めた暫定令(MP)471に関し、業者がロビイストに賄賂を払う相談を行い、賄賂と疑われる金がルーラ前大統領の息子の経営する企業にも横流しされた疑いが浮上した。労働者党(PT)政権にとって新たな火種が生まれつつある。1日付エスタード紙が報じている。
今回の疑惑は、連警が3月から展開している、税務監理審議会(CARF)を巡る贈収賄工作の捜査「ゼロテス作戦」で摘発されたMMCアウトモトーレス(三菱自動車のブラジル子会社)と、ヒュンダイ車の製造とフォード、ヒュンダイ、スバルなどの販売を担当するCAOAを調べる中で浮上したもので、その資料をエスタード紙が独自に入手して報じた。
その資料によると、MMCとCAOAは2009年11月11日と19日にロビイストと契約を結び、連邦政府がMP471を作成し、議会でも承認させるのと引き換えに、最高3600万レアルの賄賂を支払うことになっていた。ルーラ氏は同年11月20日にMP471に署名している。
MP471は、北東伯と北伯、中西伯で製造された車に対し、2010年12月31日までだった工業製品税(IPI)の減税を、2011~15年の5年間延長するというものだ。
MMCとCAOAが契約を結んだのはSGRコンスウトリア・エンプレザリアル社(SGR)とマルコンデス&マウトーニ・エンプレエンディメント社(M&M)で、SGRの社長のジョゼ・リカルド氏は、当時官房長官だったジウマ大統領の片腕的存在で、ジウマ氏の後任として同職(2010年4~9月)についたエレニセ・ゲーラ氏(PT)と深い関わりのあるロビイストだ。
当時交わされたメールなどによると、ロビイストたちはMP471が出される直前の11月16日に、当時ルーラ大統領の補佐官で後に大統領府総務室長となったジルベルト・カルヴァーリョ氏(PT)とこの件で会談を持っている。
同MPは10年3月24日に議会で承認され、正式な法令となった。しかし、M&Mが連邦政府内の人物(PT)に払うべき400万レアルを払わないため、「ライムンド・リマ(偽名)」なる人物が10年10月15日付でMMC共同経営者のエドゥアルド・ソウザ・ラモス氏の秘書宛にメールを送り、CAOAが同MP承認の報酬として払うべき金を払うよう、ラモス氏も一緒に取り成すよう求めている。
同紙はまた、同法が発効した2011年には、M&Mがルーラ氏の息子のルイス・クラウジオ氏の「LFTマーケティング・エスポルティヴォ」に240万レアル支払ったことも報じている。