悪夢の惨敗を喫した昨年の自国開催W杯から1年と3カ月、サッカーブラジル代表、セレソン・ブラジレイラは早くも次のW杯、ロシアに向けての船出を切る。10月8日から2年の長きに渡る、2018ロシアW杯南米地区予選が開幕だ。
初戦の相手はチリ、会場は敵地サンチアゴ。直近の地元開催コッパ・アメリカで初優勝し、勢いに乗っている。エースのアレクシス・サンチェス(アーセナル)は4日のプレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッド戦で2得点と好調だ。
コッパ・アメリカでの準々決勝敗退や、ネイマール(FCバルセロナ)の出場停止など、不安要素を抱えるセレソンだが、国民の間にそれほどの危機感は感じられない。試合2日前の現地スポーツ紙では、佳境を迎えた全国選手権の話題ばかりで、セレソンの記事は16面のみ。知人のジャーナリストも「チリはお得意さんだから」と、自分の応援するクラブの来期1部昇格の方が気になっている様子。
確かにブラジルは過去15年間チリに負けていないことは有利なデータかもしれないが、逆だからこそ、負けたときのショックは大きい。
また、ブラジルは前回大会を開催国枠で予選免除だったため、今回の招集メンバーで前々回の2010年南アフリカ大会の予選を経験しているのはカカ、ダニエル・アウベス、マルセロなど6人のみだ。
世界中でブラジルだけが唯一、過去全てのワールドカップに出場している。ドイツ相手の歴史的「7対1」の後、徹底して自己批判の論調が沸き起こり、未だにその後遺症に苦しんでいるブラジルサッカーだが、まさかのW杯予選敗退を予想するのは、余程の悲観主義者に限られる。
予選は10カ国総当りで、上位4位までが自動出場、5位は大陸間プレーオフという選抜方式だが、今のブラジルの実力はとても突出しているとは言い難い。
ネイマールを出場停止で欠き、相手は南米王者、敵地開催、6年ぶりのW杯予選の独特のプレッシャーと、15年ぶりの対チリ白星献上の条件は揃っているように見えるが、今日もブラジル国民は「W杯の心配と言えば、そこで優勝できるかどうかだけ、まさか出られるかどうかなんて」と鷹揚に構えている。(規)
タグ:W杯 サッカー ブラジル代表 ネイマール チリ 写真ニュース